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BO NINGENのサイケデリック見世物小屋(第5回)

連載
皿えもん
公開
2011/11/21   17:00
更新
2011/11/21   17:00
テキスト
文/Taigen(BO NINGEN)

アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! 海外では日本の音楽がどう捉えられているのかを、イギリス在住のBO NINGENの視点でお届けします。今月の担当は、ベース/ヴォーカルのTaigen!!

 

 

[ 今月の一枚 ] ももいろクローバーZ 『バトル アンド ロマンス』 スターチャイルド

 

BO NINGENのベース/ヴォーカルのTaigenです。

メンバー4人が一巡して、今回から2周目となりますBO NINGENの〈サイケデリック見せ物小屋〉。

僕が第1回で選んだ不失者から続く情念系の流れを前回のKohei君(ギター)が見事切断してみせたので、
2周目からはさらにフリーに攻めていこうと思います。

今回選んだのは、ももいろクローバーZの『バトル アンド ロマンス』です。

僕は、いわゆるJ-Popというかメインストリームの音楽を聴いていた時期というのがとても短く、
高校で楽器を始めるまで音楽そのものに興味がなかったからか(プロレスの入場テーマ曲が音楽の教科書でした)、
音楽を始める前と始めた後では、音楽の聴き方そのものに違いが出てきました。

自分の好きなジャンルやこだわりみたいなものが出てくると、
〈なぜこの音楽が好きなのか〉という理由がわかってきて、
〈なんで好きなのかわからないけど、とにかく曲が好きだから何回もループして聴いてしまう〉という体験がなくなってしまうように感じます。

前置きが長くなってしまいましたが、このアルバムにも収録されている“行くぜっ! 怪盗少女”という曲は久々にその感覚を思い出させてくれた曲です。
実際、BO NINGENのファースト・アルバムのマスタリング後にスタジオからライヴ会場へ向かう際、
気付いたらこの曲を無限ループで再生し続けていました。

いまでこそすっかりももクロオタな僕ですが、当時はそこまでももクロのことを知らず、
逆にアイドル/アイドル曲というのはむしろ苦手でまったく興味がないジャンルの音楽だったのにも関わらず、です。

〈ずっと終わりや完成型の見えないグループでいたい〉という彼女たちからは、
ライヴはもちろんのこと、レコーディングされたCDの曲からも、
いまの大抵のバンドマンが忘れているであろう、一瞬一瞬の全力感や初期衝動がひしひしと伝わってきます。

もしよければ、「ももいろクリスマス in 日本青年館 ~脱皮 : DAPPI~」というDVDもぜひチェックしてもらいたいです。
自分のライヴで〈泣けるところまで感情を持っていけるか〉を良いライヴかどうかの一つの物差しにしている僕にとって、
1曲目のしょっぱなから泣きまくって歌い踊る彼女たちに、
シンパシーを感じずにはいられません。

いつか共演したいという思いから自分でBO NINGENとももクロのマッシュアップを作るまでになってしまったいまとなっては、
ももクロの良さを語り出すと止まりそうにないのでここらへんで自粛しますが、
アイドルを舐めきっていた昔の僕みたいな方にこそ衝撃を与え、
音楽の聴き方を見つめ直すきっかけになる。

そんなアルバムではないかと思います。


▼文中に登場した作品

 

PROFILE/BO NINGEN

Taigen(ヴォーカル/ベース)、Kohhei(ギター/エコー/ファズ)、Yuki(ギター/エコー/ファズ)、Mon-chan(ドラムス/ポールダンス)から成る、ロンドン在住の日本人男性4人組バンド。2009年、UKのストールンから限定EP『Koroshitai Kimochi』でデビューし、2010年11月にはファースト・アルバム『Bo Ningen』(Stolen/Knew Noise)を発表。来年1月には来日ツアーを控えるなか、12月14日には新EP『Henkan/Jinsei Ichido Kiri』(Knew Noise)のリリースが決定!! そんな彼らのスケジュールについては、こちらのサイトをご覧ください。

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