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Rachel Podger

公開
2011/12/22   21:50
ソース
intoxicate vol.95(2011年12月10日発行)
テキスト
文 松本學(音楽批評)

ポッジャーと仲間達によるバッハ・フェスティヴァル

ロンドン・バロックやガブリエリ・コンソートなど、英国のピリオド楽器アンサンブルで早くから活動を始めていたレイチェル・ポッジャー。その頃から通人の間では才能ある奏者として注目され始めていたが、一般の音楽ファンにその名が広く知られたのは、おそらく97年――ピノック率いるイングリッシュ・コンサート(EC)のリーダーに就いた年といってよいだろう。

爾来彼女の活躍ぶりは目覚ましく、EC退団後もインライトゥンメント管やサンタ・フェ・プロ・ムジカなどの客演音楽監督、エンシェント管(AAM)などのソリストをはじめ、トップ・リーダーとしてこの世界を牽引している。

来日公演では、2000年のECとの《マタイ受難曲》のソロや、2001年の紀尾井ホールでのリサイタルなどが今でも語り種だ。特に後者ではピノックやマンソンらとのアンサンブルでの丁々発止としたやりとりや、バッハのソナタでの滋味を湛えた音色、自在なボウイングから繰り出される多彩な音楽的語彙で聴衆を堪能させていた。その彼女が再び日本にやってくる。2日間全7公演にわたってバッハを特集する「トリフォニーホール・バッハ・フェスティヴァル2012」がそれだ。ここでは無伴奏からチェンバロとのソナタにコンチェルトと、バッハの主要ヴァイオリン作品の多くが披露される。

共演者たちがこれまた豪華だ。チェンバロは、昨年末に初来日を果たし各方面から絶賛されたディエゴ・アレス。その時に弾いた《ゴルトベルク変奏曲》が再び聴けるのも嬉しい。また、ポッジャー自身が2007年に結成したブレコン・バロックが随伴するのはもうひとつの大きな注目ポイントだ。このアンサンブルは、彼女の出身地ブレコンで創設した同名の音楽祭のレジデントで、メンバーはかつてポッジャーも所属していたフロリレギウムの現首席ヴァイオリン奏者ボヤン・チチッチやインターナショナル・バロック・プレイヤーズのリーダー、ヨハネス・プラムソラー、AAMやECで首席を歴任したアリソン・マクギリヴレイなど鉄壁の名手揃いである。

ポッジャー・マラソン、あるいはポッジャー・フェスティヴァルとも呼びたくなるこのプロジェクト。あの無伴奏ソナタ&パルティータ録音から15年弱、前回のトリフォニーホール公演から8年。バッハ作品の魅力と共に、この間のポッジャーの演奏の深まりを存分に味わっていただきたい。

LIVE INFORMATION
『トリフォニーホール・バッハ・フェスティバル2012』

レイチェル・ポッジャー(vn)
2/18(土)19(日) 会場:すみだトリフォニーホール
http://www.triphony.com/