ジャン=クリストフ・マイヨー版《夢》がいよいよ発売!
2、3年毎に来日し、その独特のテイストでファンを魅了しているジャン=クリストフ・マイヨーとモンテカルロ・バレエ団。映像ソフトも既に輸入盤ではいくつもリリースされているが、今回そのカタログにシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』を原作とした 《Le Songe(ル・ソンジュ:フランス語で“夢”の意)》(05)が国内盤としてリリースされた。日本では06年に初演された作品だ。
これまでに『夏の夜の夢』を採り上げてきたバランシンやアシュトン、ノイマイヤーらと比べると、その中で最も新しいマイヨー版の特徴は、一部を別とし、物語自体を原作にかなり忠実、かつすっきりと進行する点と言えるだろう。また、音楽にメンデルスゾーン以外も加えることで、作品を立体的に組み立ててもいる。つまり、ハーミアやライサンダーらにはメンデルスゾーンを、妖精界にはダニエル・テルッジ、芝居を準備する職人たちにはベルトラン・マイヨー(ジャン=クリストフの兄弟)というように、物語に描かれる3つの世界にそれぞれ別の作曲家を当てることで区分けを明確にし、理解し易くしているのである(登場人物の衣装に、各々の配役名が縫い付けられているのも同様)。
ダンス自体は、スタンダードなバレエに、コンテンポラリー、ヒップホップ、さらにはカンフーまでが取り込まれており、優雅さからエロティシズム、そしてコミカルさまでを幅広く表現している。
また、ボトムがロバの被りものを用いないのもややユニーク。その代わりに尻尾を巧みに操り、タイターニアとの艶かしい逢瀬が存分に描かれる。このタイターニア役を演じているのは、マイヨー&モンテカルロ・バレエ団の看板とも言うべきベルニス・コピエテルス。いつもながら動きから衣装まで実にセクシーだ。
その他にも、セットから照明、衣装など、まさに当カンパニーらしさで満たされている本作品。ライヴではなくDVD用にセッション収録されているので、カメラワークや映像の美しさもたっぷりと楽しんでいただきたい。