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SWEET SOUL RECORDSが掘り出した、世界中のソウルの魔法

連載
360°
公開
2012/07/18   14:00
更新
2012/07/18   14:00
ソース
bounce 345号(2012年6月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


生音のSOULにこだわったボーダレスなレーベル



ソウルと呼んでもR&Bと呼んでもアーバンと呼んでも構わない〈それ〉ではあるが、このレーベルがそれを〈ソウル〉と呼ぶことに強い意志と理念を感じさせられはしないだろうか。ここで紹介するSWEET SOUL RECORDSとは、日本を拠点にしながら世界中から良質なインディー・ソウルをリサーチしてパッケージングし、日本のみならず海外のソウル・ファンに向けてもリリースしているレーベルである。

SWEET SOULというと、いわゆるサブジャンルの名称としての〈スウィート・ソウル〉を連想してしまいそうになるものの、このレーベルがこだわっているのは生音を基調にした、一般的にネオ・ソウル、オーガニック・ソウルと形容されるスタイルのアーティストたちに対象を絞っていること(もちろんそのまま〈スウィート・ソウル〉なものもある)。もちろんサウンド的な話だけならメインストリームにもアンダーグラウンドにも数多く存在するものではあるが、それ以上にユニークな特徴として挙げられるのは、ソウル・ミュージックの〈本場〉とされるUS産にこだわるのではなく、文字通り世界各国で活動しているアーティストを積極的にフックアップしていることだ。UKやドイツ、フランス、オランダといったヨーロッパはもちろんのこと、オーストラリアやニュージーランド、さらにはメキシコ、そして日本……と、それだけでもラインナップは驚きの幅広さだといえるだろう。それぞれの作品から国ごとのカラーのようなものを感じることもできるだろうが、国境や人種とは関係なく、各アーティストたちが先達に敬意を払いながら〈ソウル〉というワンネスを表現しようとする様子には何かを感じずにはいられないはずだ。

このレーベルがこれまでに日本盤としてリリースしてきた作品、あるいは供給が不安定なインディー・アーティストの輸入盤流通を担ってきた作品の数々はこのページにズラリと紹介している通りだ。そして、そういった成果を踏まえてこのたびリリースされるコンピが『WORLD SOUL COLLECTIVE VOL.1』である。そこには先述したような面々の彩り豊かな楽曲が収録されているから手軽なレーベル・サンプラーとしても楽しめるし、日本人アーティストであるNao Yoshiokaのお披露目となるオリジナル・ナンバーも収録されている。百聞は一見にしかず。さまざまな国のさまざまな環境で育まれた生音のソウル・ヴァイブレーションをどこからでも楽しんでほしい。