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Amadou & Mariam『Folila』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/07/02   13:57
ソース
intoxicate vol.97(2012年4月20日発行号)
テキスト
text:篠原裕治

世界的人気を誇るマリの夫婦デュオの新作


Amadou&Mariam_jk

昨年のフジ・ロック・フェスにも出演したマリ共和国の盲目の夫婦デュオ、アマドゥ&マリアム。これまでにも、マヌ・チャオやデイモン・アルバーン がアルバムをプロデュースするなどして、アフリカ音楽ファンにとどまらない幅広い層に支持されてきた。今回の新作は以前から彼らと活動をともにしてきた マーク=アントワン・モローがプロデュースを担当しているが、ゲストがいつも以上に多彩で、サンティゴールド、TV・オン・ザ・レイディオ、ニック・ジ ナー(ヤー・ヤー・ヤーズ)、ジェイク・シアーズ(シザー・シスターズ)、セオフィラス・ロンドンなど、アメリカで活躍するロック~ヒップホップ界の俊英 たちが名を連ねる。TV・オン・ザ・レイディオは昨年リリースされたティナリウェンのアルバム『タッシリ』にも参加していたが、ほかの面々はかなり意外。 アマドゥ&マリアムの音楽の認知度をロック・ファンやヒップホップ・ファンに向けてさらに広めるための戦略だろうが、この渋い人選はなかなか興味 深い。また、マリでナンバー・ワンのンゴニ奏者、バセク・クヤテも随所でいい仕事をしている。

本作は、まずニューヨークでベーシック・トラックを録音し、その後マリのバマコのスタジオで仕上げられたようだ。サンティゴールドが曲作りにも関わったと いうオープニングの《Dougou Badia》や、それに続くTV・オン・ザ・レイディオが参加したファンキーな《Wily Kataso》などは特に、一般のリスナーにも訴えかけるだけのポテンシャルを持っている。もともとアマドゥ&マリアムのサウンドは、マリの伝統 的な音楽をベースにしてはいるが、エリック・クラプトンやブルースのジョン・リー・フッカーなどにも影響を受けたブルース・ロック的なものなので、これら のアーティストとの共演も違和感はまったくない。この作品がアメリカをはじめとしたインターナショナルなマーケットでどんな反響を呼ぶか、楽しみだ。