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bomiの気だるい気配(第1回)

連載
皿えもん
公開
2012/07/10   18:00
更新
2012/07/10   18:00
テキスト
文/bomi


アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! メインストリームからちょっぴり脇道を行く、退廃的な時代のムードを纏った歴代のキッチュな斜ガールの作品をbomiがご紹介!



bomi



SUZANNE VEGA 『Solitude Standing』 A&M



個人的な趣味ではあるけれど、退廃的なムードのあるものが、何においても私は好きなようで。
声高に明るい未来を歌うでもなく、投げやりにすべてを投げ出してわめくでもなく、ふと一瞬、寂しげな顔がチラリと覗く、そんなようなもの。

この連載の記念すべき第1回は、この人の作品を紹介しようと思います。

スザンヌ・ヴェガ『Solitude Standing』。

彼女を知ったのは、渋谷の宇田川町にある行きつけのbeat cafeというバーで。
普段なにげなしに見ていたTVの画面に、その日はふと目が止まりました。
そのときかかっていたのは、“Luka”という、彼女の代表曲のミュージック・ビデオ。
モノトーンで描かれる世界のなかでたまに寂しげな表情を覗かせる、少年みたいにあどけない顔の造作をした短髪の女の子。
また明日からはいつもの1週間が待っていて、朝には満員電車にも乗ります。
流れるNYの街の景色のつんとした空気感にも、単純に興味をそそられました。

家に帰ってすぐにYouTubeで調べ、彼女のCDを購入。
“Luka”自体は、どうやら虐待された子供の気持ちを淡々と歌っているものらしく、よく英語のわからない私ですら、そう思いながら聴くと何となく伝わってくる、諦めとその淡々とした視線にググッと胸の奥の奥の部分を掴まれるような思いが。

鼻歌のように歌われる“Tom's Diner”も自分から見える街の景色を淡々と歌っている曲で、歌詞の視点がおもしろい。NYの街を追体験したような気持ちになる。
かと思えば、“Book Of Dreams”(次作『Days Of Open Hand』収録)のような、ちょっぴり凝ったキッチュなMVも作っていたり。

なに、この人可愛い。

80年代のメインストリームなポップ・アイコンといえばシンディ・ローパーやマドンナかもしれないけど、スザンヌ・ヴェガも覚えておきたいところ。



PROFILE/bomi



87年生まれ、韓国人を両親に持つ、NY出身/大阪育ちのアーティスト。2006年、大学進学を機に上京し、音楽活動を始める。2011年にbomiとして始動し、同年11月にタワーレコード限定でミニ・アルバム『Gyao! Gyappy!! Gyapping!!!』を、2012年2月に『OH MY POOKY!!!』を発表。6月にメジャー・ファースト・ミニ・アルバム『キーゼルバッファ』(コロムビア)をリリース。現在は絶賛そのリリース・ツアー中。11月23日(金・祝)には代官山UNITにて初のワンマン・ライヴ〈bomb bomb bomi!〉が決定している。詳しくはこちらへ!