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ceroのcontemprary exotica records online(第2回)

連載
皿えもん
公開
2012/07/20   16:00
更新
2012/07/20   16:00
テキスト
文/荒内佑(cero)


アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! ceroのメンバーが考える〈エキゾ〉なディスクを紹介します! 第2回は荒内佑(キーボード/ベース)のエキゾ盤!



cero



寺尾紗穂 『青い夜のさよなら』 ミディクリエイティブ



〈contemporary exotica records online〉第2回はceroの荒内佑が、寺尾紗穂さんの『青い夜のさよなら』について書きます。

寺尾紗穂が多ジャンルのアーティストと曲ごとにコラボレートした『青い夜のさよなら』。
リリース前、一足先に聴いていた身近な音楽ライターの方々から感想を聞いてみると少し困惑しているようだった。
というか、このアルバムに対してどのような言葉をかけたらいいのか迷っているように思えた。
作品を耳にしてみると、確かに従来の寺尾さんファンが驚くのもわかる。
聴こえてくるのは、これまでの歌とピアノなど生楽器を主体にしたアンサンブルではなく、歌とピアノにシンセサイザーやSE、ラップ、打ち込み音が飛び交う楽曲だ。
しかし、言葉に迷うということは、このアルバムが語られる言葉を求めてるとも言えないだろうか。
わずかながら僕もこの傑作に言葉を添えられたら、と思う。

以前と違う音といっても、これまで通り、芯と言える歌とピアノは中心に据えられている。
その周りで多種多様で豊かな音、声が鳴っているのだ。
そのなかで寺尾さんの音楽は増幅され、また更新されていく。
そして、彼女はそれを楽しみ、喜びを持って受け入れているように思った。
芯を持ちつつ、他者を迎え入れること――僕はそこに深く感動してしまう。
飛躍するが、あなたとわたしが、地方と都市が、反対と推進が、一方が他方を否定/同化しがちな現状で、このようなアルバムが生まれたのはとても嬉しい。

この連載のテーマ〈エキゾ〉にこじつけるなら、
〈exotica〉の語源を調べると、例えばexodusやexitのような頭に〈ex〉がついている単語は、
ラテン語で〈外の〉を意味する〈ex~〉がそのまま名詞化したものらしい。
なので寺尾さんにとって〈外から〉やってきた人たちと作り上げたこのアルバムは、エキゾと言える……かも。

少し小難しくなりましたが、『青い夜のさよなら』傑作です! ぜひタワーレコードで買ってみてね!!



PROFILE/cero



高城晶平(ヴォーカル/ベース/ギター)、橋本翼(ギター/クラリネット)、荒内佑(キーボード/ベース)から成る3人組。2004年に結成され、都内を中心にライヴ活動を行うなか、2008年のコンピ『細野晴臣 STRANGE SONG BOOK -Tribute to Haruomi Hosono 2-』収録の鈴木慶一“東京シャイネスボーイ”へ演奏で参加したほか、同年の『にほんのうた 第二集』にて“青い眼の人形”のカヴァーを提供。2011年にファースト・アルバム『WORLD RECORD』(KAKUBARHYTHM)をリリース。今後〈フジロック〉をはじめ多くのフェス/イヴェントへの出演が予定されているなか、現在はニュー・アルバムの発表に向けて絶賛レコーディング中! 詳しい情報はコチラへ!!