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復刻!東映まんがまつり 1968年夏

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/07/20   13:20
ソース
intoxicate vol.98(2012年6月20日発行号)
テキスト
text:高野直人(秋葉原店)

あの時飲んだジュースとか、連れて行ってくれた親のこととか、いろいろな思い出とともに

春・夏・冬。学校が休みの期間に入ると、テレビでは「東映まんがまつり」のCMが流れていた。まんがに留まらず、実写の戦隊ものなども入った3本立て4本立ての興行。映画時代の内容はもう忘れてしまったけど、あの時、あの映画館、連れてってくれた親のこと、途中飲んだジュースとか、いろんなことが思い出されてくる…。

多くの方にとって、東映まんがまつり、とはそのようなものなのではないかと思う。懐かしいを通り越してかけがえのない「体験」ながら、映画自体がなんだったかもうろ覚え。でも、もう一度あの興行形態で見てみたい。そんな「おとなの夢」を東映60周年記念で叶えたのが昨年のこと。4本分があの形態のまま完全復刻された。好評を博しての第二期シリーズ、今年は5本もリリースしてしまうという。その第一弾が本作『1968年夏』である。

本作で「1968年夏」を懐かしむ方も多いと思うが、拙者はまだ生まれてすらいない。にも拘らず、特にこの『1968年夏』が興味深いのには訳がある。本作のメインタイトルが『太陽の王子 ホルスの大冒険』であるからだ。、『ホルス』は監督高畑勲、製作に宮崎駿、大塚康生らが参加したアニメである。後の『未来少年コナン』といったTVアニメやジブリの名作の原点が垣間見られるので興味が尽きないのだが、それと共に「1968年夏」という時代らしく、労働組合の運動がリアルに制作(合議制を多数採用した)や物語(人民の団結がテーマですから!)に反映されたと言う意味でも、大人になって見た方が格段に面白いのは間違いない。

そのことは併映された『ゲゲゲの鬼太郎』や『ウルトラセブン』や『魔法使いサリー』に言えるかもしれない。そこにはふと「1968年夏」が映し出されているのかもしれない。2012年夏に1968年夏へ旅行してみるのもいかがかと思う。