アーティストが各テーマに沿ったお皿（CD）を紹介する連載! メインストリームからちょっぴり脇道を行く、退廃的な時代のムードを纏った歴代のキッチュな斜ガールの作品をbomiがご紹介!
CAT POWER 『The Greatest』 Matador
うららかな午後。
ロッキンチェアーに揺られながら、風に膨らむカーテンを横目に。
光の粒子がたくさん浮かんでいることを思い浮かべながら、それを脳に充満させるようなつもりで鼻から大きく空気を吸って、ゆっくりと目を閉じる。
ふぅっと息を吐く。
このふぅっと吐く息には、身体の中から出してやりたいモヤモヤやイライラをイメージするのが、わたしの習慣。
パソコンから流れてきた音楽は、キャット・パワーの『The Greatest』。
途端、自分がどこにいるのか定かでなくなる。
彼女の歌声は至極肌に近く、それでいてあるかどうかもわからない遠くの天国を思わせる。
諦めに近い、ため息のような。
思えば彼女を知ったのは、ひょんなことでバディ・ホリーの“Crying, Waiting, Hoping”という曲のカヴァーを動画サイトで見つけたのが最初だった。
決して楽器がうまいわけではない。だけど、ぐんぐん惹き付けられる。
なんだか妙に色っぽいしゃがれた声。
タバコをくわえたら、文句なしに似合うだろうな。
歌う時の、くしゃっとする顔の造作に、わたしは恋をした。
空が青ければ青いほど、風が肌に心地良ければ良いほど、泣き出したくなる時がある。
彼女の歌声は、それに似ている。
PROFILE／bomi
87年生まれ、韓国人を両親に持つ、NY出身／大阪育ちのアーティスト。2006年、大学進学を機に上京し、音楽活動を始める。2011年にbomiとして始動し、同年11月にタワーレコード限定でミニ・アルバム『Gyao! Gyappy!! Gyapping!!!』を、2012年2月に『OH MY POOKY!!!』を発表。6月にメジャー・ファースト・ミニ・アルバム『キーゼルバッファ』（コロムビア）をリリース。10月に行われる〈FM802 MINAMI WHEEL 2012〉などのイヴェント出演が多く予定されているなか、11月23日（金・祝）には代官山UNITにて初のワンマン・ライヴ〈bomb bomb bomi!〉を開催する。さらに12月8日（土）公開の映画「今日、恋をはじめます」のテーマソングを担当することも決定。詳しくはこちらへ
