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【第12回】――lyrical school

tofubeats

タグ
女性アイドル
連載
ZOKKON -candy floss pop suite-
公開
2012/08/22   17:59
更新
2012/08/22   17:59
ソース
bounce 347号(2012年8月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/出嶌孝次

 

朝が来るまで終わる事無い音楽を

 

さて、いまもっとも注目すべきクリエイターのひとりがtofubeatsであることに異論を挟む人はいる? 神戸在住の彼は、もともとイリーガルなエディットやマッシュアップによってオンラインで名を馳せてきた90年生まれのトラックメイカー。3年前にbounceでムリヤリ紹介した際にはタワレコで入手可能なブツも数えるほどだったのですが、以降は多様なフィールドを跨いで活躍の場を広げているのはご存知の通り。今年に入ってからは本人名義の“水星”を配信ヒットさせるなど、ひと回り大きな注目を集めている真っ最中です。ここではlyrical schoolをはじめ、9nineの一連の素晴らしいリミックスなど、彼の音楽世界において重要な一部を占める〈アイドル〉についていろいろ訊いてみました。

 

──いわゆる〈アイドル〉の楽曲を手掛ける機会も多くなっていますね。

「そもそも昔〈アイドルと仕事したいっす!〉って連呼しまくってたので、いまこうなってるのは非常に嬉しいです。連呼しだした理由も昔Perfumeのあ~ちゃん氏が〈言霊ってあるけんね!〉って何かのライヴで言ってたからなので、言霊ってあるなと思います(笑)。あと、僕がラッキーなだけかもしれませんが、アイドルのリミックスはわりと自由にやらせていただける仕事が多く、どれも楽しくできています」

──音楽を意識して聴くようになったきっかけはBUDDHA BRANDだと前に仰ってましたが、アイドル音楽に関しては?

「そもそも中田ヤスタカ氏を聴いてた流れでPerfumeを聴くようになり、男子校時代に握手会に行ってから完全に恋になってしまったんですが、アイドル全般を聴くきっかけになったのは、DJの先輩・okadadaさんのこれまた大学の先輩が仲間内で配ってた趣味のCD『free soul classic of モーニング娘。』を聴いてからです。それを又貸ししてもらって衝撃を受けて、その後に2007年のハロコン〈ワンダフルハーツ 乙女Gocoro〉での田中れいなセンターの“やる気! IT'S EASY”の動画を観て脳天をバットで殴られたような感じになって、そこからは万遍なく聴くようになって現在に至ります。それとは別に同時進行で、単なるDJとしてのかっこいいJ-Pop収集の一環で過去のアイドルもいろいろ聴いたりはしていましたが」

──現場もよく行ってたんですか。

「まあまあ行ってたのはPerfumeとももクロくらいじゃないでしょうか。週末はDJしてたりしてそこまで足繁く現場に通えたわけでもないので、けっこう在宅寄りですね。あとリミックスとか多方面やってるリミックスDDなのもあって、リスナーとしても基本DDなフシが見受けられると思います」

──Tumblrでは℃-uteの愛理さんが……。

「いえ、℃-uteは全員可愛くて時期によってもいろいろあるので、もう誰か選べません。というかアイドルを見ていると世の中こんなに可愛くてそれぞれ素敵な子がいるのに、〈推し〉とか言わなきゃいけないのってむしろキツいです」

──はい。で、いまハロプロの話が出ましたが、tengal6“プチャヘンザ!”のヴォーカル・フォーメーションはモーニング娘。やももクロにも通じる感じでしたね。作り手としてもアイドル曲やその作家からの影響や刺激は大きいですか?

「もちろんです。つんく♂さんには、自分でアイドル曲を作るようになってから作詞やパート割りの面で相当影響を受けました。程良い〈三枚目〉感みたいなのも相当好きですね。あと、つんく♂さんがよく掲げているように思える〈愛や平和が大事だけど、それを続けるのは実は難しい〉みたいなメッセージって、クラブ・ミュージックの刹那感と通じるところがあるのではと勝手に思っています。リリスクの“おいでよ”ではそれを実践したつもりです」

──lyrical schoolについては次頁でお話いただくとして……いわゆるプロデューサー/ライター買いみたいな感じで注目しているアイドル曲で作家さんはいますか?

「松井寛さんと平田祥一郎さんの名前が入ってたら、とりあえずどれを買っても大丈夫なんじゃないでしょうか」

──tofuさんも名前買いされてると思いますよ。前は〈音楽でご飯を食べていこうとは思っていない〉と仰ってましたが、いまはどうですか?

「しばらくは音楽をやってみよう的な感じになってきました。YUKIさんからリミックスのオファーが来たり、“水星”が売れたのが少しばかり自信に繋がってないと言えばウソになりますし。相変わらずめちゃくちゃガツガツって感じでもないですが、地方で一人暮らしして身の丈に合った感じで、音楽を含めたさまざまなことで身を立てられないか実験を始めるところです」

──アルバムも楽しみにしてます。

「出したいものを出せるよう、焦りすぎずに事を進めたいと思っています。好きな女優とかモデルとかアイドルとか呼んで、オシャレでカッコ良くて、かつ取っ付きやすいアルバムを作りたいです。2013年中に出すのでよろしくお願いします!」

──来年中ですか……。

 

▼tofubeats仕事を含む作品の一部。

左から、南波志帆の2009年作『ティーンエイジ シンフォニー』(LD&K)、佐々木希の2011年のシングル“パペピプ♪パピペプ♪パペピプポ♪”(ソニー)、COASARUの2011年作『別人格コアサル』(術ノ穴)、LILの2012年作『L2』(EMI Music Japan)