震災を経て生まれた新曲《心に花を咲かせよう》を日本初演!
音楽で何かをしたい。東日本大震災からの復興のため、その意思を共有した音楽家たちが集まり、合唱CDを制作。その発売を機に、被災地と東京で復興支援コンサートなどを行う。指揮を担う山田和樹は9月からスイス・ロマンド管首席客演指揮者、日本フィル正指揮者に就任する期待の新鋭指揮者。彼も震災直後悩んだ一人。大震災は彼がベルリンに居た時に発生した。
「日本人でありながら、日本が大変な時にそこにいないもどかしさがずっとあって、何か自分に出来ることがあれば、という気持ちを持ってきました」
合唱曲《心に花を咲かせよう》の作詞は詩人・山本瓔子。震災後広く歌われた《あすという日が》も作詞した。作曲は気鋭の上田真樹。山田は作品をどう捉えているのか。
「《心に花を咲かせよう》は、《あすという日が》を関連づけて考えるよりも、独立した唯一無二の曲と捉えていて、植物の花がすぐにはパッと咲かないように、時間をかけて深く心に染み込んでくる要素が強いと思います」
指揮を引き受けた決め手は、この作品にあったそうだ。
「山本さんの詩、上田さん作曲の音楽が素晴らしく、お引き受けすることにしました」
演奏においては、音楽を震災への感傷や過度な思い入れで曇らせてしまうことなく、作品の持つ力を伝えることに注力した。
「初めて知った曲もあるがどれも素晴らしい音楽。常に感動しながら練習・録音していました。しっとりとした曲が多いが、全て個性がハッキリした曲でもあるので、バラエティ豊かな飽きない内容です。素材をそのまま扱ったり、ハーモニーの妙、展開の面白さなど、四人四様の編曲手法も堪能できます」
最後に東北公演について聞いた。
「現在調整中ですが、キャラバン的・出張出前的に、より心の触れ合いを実感できるようなステージがあればと思っています」
ようやく産声を上げた作品が、より広く皆様の心に届くことを願ってやまない。
LIVE INFORMATION
『心に花を咲かせよう』
●9/7(金)19:00開演
会場:上野学園 石橋メモリアルホール
出演:山田和樹(指揮)前田勝則(P)心に花を咲かせよう合唱団
[第1部] 春よ、来い/涙をこえて/瑠璃色の地球/上を向いて歩こう/故郷
[第2部] 切手のないおくりもの/心の瞳/見上げてごらん夜の星を/あすという日が/心に花を咲かせよう(山本瓔子/上田真樹)世界初演
特別講演「あすという日」から「心に花を咲かせよう」 朗読とお話 山本瓔子(詩人)
「心に花を咲かせよう」プロジェクト
http://kokohana.jimdo.com/
©Marco Borggreve