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ハインツ・ホリガー

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公開
2012/08/29   14:55
ソース
intoxicate vol.99(2012年8月20日発行号)
テキスト
text:磯田健一郎

多面体の乱反射を聴け!~指揮者、作曲家、ハインツ・ホリガー~

スイスのベルン音楽院において彼は、コダーイの弟子にしてバルトークのアシスタントとしても知られるヴェレシュ・シャーンドルに作曲を師事した。ハンガリー出身の作曲家であり、バルトークとリゲティの中間世代を代表するその師から、伝統的語法と実験精神を同時に吸収したであろう彼は、のち1961年から63年にかけて、バーゼル音楽アカデミーにおいてピエール・ブーレーズに作曲法を学ぶことになる。二人の師の持つ「同時代性」をぞんぶんに吸収したであろう彼は、その傾向に抗うことなく真摯にモダンな音響世界の構築に向き合い、オペラから管弦楽、協奏曲、弦楽合奏、室内楽、器楽、合唱、声楽、電子音響と、さまざまなジャンルに作品を発表。その作品の多くは主としてショット社から出版されており、ECMなど気鋭のレーベルで多数レコーディングされている(彼のオペラアルバムを企画したECMのプロデューサーは、その年のグラミー賞を受賞した)。また彼は、スイス・ロマンド管弦楽団、およびルツェルン国際音楽祭のコンポーザー・イン・レジデンスも歴任。こうしてみると、彼の作曲家としての評価はすでに揺るぎない感がある。

そんな彼は指揮者としても世界的に知られている。自作自演はもちろん、古典作品の指揮者としてもとても精力的だ。今まで指揮してきたオーケストラの一例を挙げると、ベルリン・フィル、クリーヴランド、アムステルダム・コンセルトヘボウ、ロンドン・フィル、ウィーン・フィル、バイエルン放送響…とまあいずれ劣らぬ超一流オケの名がずらりと並ぶ。これらオケの名だけ眺めても、彼の指揮者としての力量と評価が決して低くないものであることは即時に理解されよう。

その彼の表現者としての多面性を示す公演が開催される。彼の作曲家、指揮者としての全方位的才能を堪能することができる好企画だ。しかも、だ。どうやら彼のオーボエ演奏も聴けるらしい。伝え聞くところによれば、こちらもなかなかの腕前なのだという。
ちなみに、彼の名前はハインツ・ホリガー。スイス生まれの作曲家である。

LIVE INFORMATION
『オール・アバウトハインツ・ホリガー』  

会場:すみだトリフォニーホール 大ホール
http://www.triphony.com/
第1日:10/6(土)開演15:00  協奏曲&指揮 with 新日本フィル 出演:ハインツ・ホリガー(ob、指揮&作曲)新日本フィルハーモニー交響楽団
第2日:10/8(月・祝)開演15:00  室内楽 出演:ハインツ・ホリガー(ob、Oboe d'amore&作曲)アニタ・ルージンガー(vc)アントン・ケルニャック(P)ウルスラ・ホリガー(hp)

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