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監督:本木克英 音楽:冨田勲『おかえり、はやぶさ』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/09/12   11:29
更新
2012/09/12   21:50
ソース
intoxicate vol.99(2012年8月20日発行号)
テキスト
text:松山晋也

親子の絆、志の継承といった〈人情〉にフォーカスされた『はやぶさ』

一昨年、世界中を驚嘆させた無人小惑星探査機「はやぶさ」。度重なる絶望的トラブルをそのつど切り抜けてミッションをクリアし、7年間60億キロの孤独な旅から無事帰還した「はやぶさ」は、日本人にとって久々に明るい話題となった。めったにない美味しいネタだけに、去年から今春にかけて三社競合で映画が立て続けに制作・公開されたわけだが、その最後の作品『おかえり、はやぶさ』(松竹・2012年3月12日公開。監督・本木克英、主演・藤原竜也)のDVD&Blu-Rayが早くも登場した。

最初に公開された20世紀フォックス版『はやぶさ/HAYABUSA』(監督・堤幸彦、主演・竹内結子)、二つ目の東映版『はやぶさ 遥かなる帰還』(監督・瀧本智行、主演・渡辺謙)に比べ、この『おかえり、はやぶさ』は、プロジェクトの偉業よりもむしろ親子の絆、志の継承といった〈人情〉にフォーカスされている点が、いかにも松竹らしい。藤原竜也、三浦友和、杏などお茶の間テイストの主要キャストも、当然戦略のうちだろう。そして、何よりも最大のウリは「3Dでの制作」ということだ。確かに、今こうして自宅パソコンで観ても、立体感の迫力はかなりのものだ。

が、本誌読者にとって最も惹かれるポイントは、音楽を冨田勲が担当していることだろう。言うまでもなく、昨年リリースされた冨田の『惑星 Ultimate Edition』には、オリジナル版にはない「イトカワとはやぶさ」なる新たに作られた楽曲が追加されていた。冨田が実際に交友のあった日本の宇宙開発の父・糸川英夫博士へ思いが込められたこのレクイエム的小曲は、当然この映画でも使われており、ここぞという場面で効果を発揮している。願わくば、迫力ある宇宙の3D映像シーンで、もっと派手に冨田の楽曲を使ってほしかったところではあるが。夏休み、親子で鑑賞するのにはもってこいかもしれない。

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