アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! カーステレオで流したいミックステープに入れるお気に入りを、〈さっちゃん〉こと平賀さち枝が紹介します!
一十三十一 『CITY DIVE』 (Billboard)
部屋を出たのは、深夜3時を過ぎたころ。
ビーチサンダルをはいて気まぐれに車に乗り込んで、夏の最後のドライヴです。
いつもの会話と、お気に入りのBGMがあれば、他にはなにもいりません。
窓を開けて、風と共に港の街へと向かいます。
高速道路を走り、しばらくして大きな橋を渡ると、昼間は立派にそびえ立つビルたちも街を抱えて眠ります。
私たちは、次にやってくる季節のことを言い合いながらどんどん車を走らせる。
夜の街には、美しい白い粒が散らばっていて、カーステレオから流れるメロディーに合わせて、キラキラと震えているようでした。
1時間ほど走ると、だんだんに空の色が薄くなってきて、みるみるうちに光の朝がやってきました。
働きものの小鳥たちも、太陽を青空まで引っ張りあげます。遠くでは始発電車が走り出しています。
正面では、顔を出した朝日が、1日のはじまりを祝福しています。
夜の終わりと朝のはじまりの、特別なひとときの出来事です。
PROFILE/平賀さち枝
87年、岩手生まれのシンガー・ソングライター。2011年にファースト・アルバム『さっちゃん』でデビュー。今年4月にミニ・アルバム『23歳』(kiti)を発表している。9月16日(日)に新木場STUDIO COASTで〈alternative tokyo〉、9月23日(日)に山形・長井市で行われる〈ぼくらの文楽〉へ出演予定。その他、さっちゃんの詳しい情報はこちらのサイトでチェック!