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DJ FRESH

連載
NEW OPUSコラム
公開
2012/10/24   00:00
ソース
bounce 349号(2012年10月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


バッドでフレッシュな男がネクスト・レヴェルに到達した超ポップなニュー・アルバムを投下!



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日本では影響力のあるロック誌などでゴールディーやロニ・サイズが大きく取り上げられたため、彼らが台頭した90年代半ば以降、ドラムンベースはいつのまにか失速してしまったように誤認している人も多いようだ。控えめに言っても、メインストリーム/アンダーグラウンドの双方で旺盛なリリースが活発化してきたのは、シャイFX & T・パワー“Shake Ur Body”が全英7位まで上昇した2002年ぐらいからのことだ。そうやって時々ポップ方向にクロスオーヴァーする作品も生まれてくるような健全な流れが続いてきた結果、現在のUKチャートでは普通にEDMやグライムやダブステップがポップスとして成立するような流れが顕在化するようになったのだと思う。

例えば90年代末から勇名を馳せたバッド・カンパニーのその後はドラムンベースの拡張を体現するものだろう。現在はバッド・テイストを主宰するマルディニ&ヴェガス、自主レーベルのイグジットで地下シーンをプログレスするDブリッジ(隣のページに両陣営の新作が載っています)、そしてポップ・ヒットを連発するDJフレッシュ……とその現在はバラバラだが、このバラバラさこそがドラムンベースの獲得した多様性そのものなのだ。

で、アダムFと運営するブレイクビート・カオスからペンデュラムらを送り出しつつ、バッド・カンパニー解散の翌年に初のソロ作『Escape From Planet Monday』(2006年)を発表したこのDJフレッシュは、ダブステップにアプローチした『Kryptonite』(2010年)で大きく飛躍し、昨年には凶暴なサイバー・ダブステップ“Louder”でついに全英1位を獲得。リタ・オラとの“Hot Like Wow”もチャートを制覇し、このたび堂々の完成を見た3作目『Nextlevelism』はその方向を突き詰めて超絶ポップ&ヘヴィーな剛力盤に仕上がっている。ディジー・ラスカルとのヒップ・ハウス“The Power”やプロフェッサー・グリーン&フレイとのチェイス&ステイタス風な壮大チューンも挿みつつ、どっちにでも飛べるドラムンベースの汎用性を活かして緩急自在な極太グルーヴで駆け抜ける様はカッコいいとしか言えない。リズル・キックスからミス・ダイナマイト、ジュリエット・ルイスまでゲストの顔ぶれも抜群で、そんな現在のUKポップの旬をぜひ体感してほしい。

 

▼『Next Levelism』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

左から、ディジー・ラスカルの2009年作『Tongue N' Cheek』(Dirtee Stank)、リタ・オラの2012年作『Ora』(Roc Nation/Columbia)、リズル・キックスの2012年作『Stereo Typical』(Island)、プロフェッサー・グリーンの2011年作『At Your Inconvenience』(Virgin)