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堀米ゆず子

カテゴリ
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公開
2012/10/10   12:48
ソース
intoxicate vol.100(2012年10月10日発行号)
テキスト
text:片桐卓也

©中村治

このトリオならではのシューマンの世界を深く探求してみたい

シューマンの室内楽は晩秋の薫りが似合う。晩秋というよりクリスマスも近い12月21日だが、「プラチナ・ソワレ」に登場するのは、堀米ゆず子(ヴァイオリン)、山崎伸子(チェロ)、津田裕也(ピアノ)の3人。世界的に活躍するソリストでもあり、同時に室内楽にも精通したメンバーが、シューマンの味わい濃い作品を演奏する。

まず《アダージョとアレグロ 作品70》。これはもともとホルンとピアノ用の作品として書かれたが、その後ヴァイオリンやチェロでも演奏できる版が作曲者自身によって作られた。ホルンでは伸び伸びとして穏やかなアダージョが印象的だが、ヴァイオリンやチェロだと活発なアレグロの印象が強くなる、と個人的には感じる。さて、皆さんはどうだろうか? さらにピアノ独奏曲としてあまりに有名な《子供の情景》が演奏される。もちろんあの《トロイメライ》はこの中の一曲である。

そしてシューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番。デュッセルドルフの音楽監督として1850年に招かれたシューマンは、1851年その地でふたつのヴァイオリン・ソナタを書くことになる。第2番は、第1番完成後すぐに書き始められ、第1番よりもかなり長い作品となった。ヴァイオリンとピアノのバランスもさらに考え抜かれていて、シューマンらしい複雑な味わいを持ったヴァイオリン・ソナタとなっている。

シューマンは妻クララのために様々な作品を書いているが、ピアノ三重奏曲第1番もそのひとつ。1847年6月にクララの誕生日を祝って書かれたのだ。全4楽章で、誕生日プレゼントとしてはかなり重厚な感じもするが、ピアノ三重奏曲としてはロマン派を代表する作品となった(ちなみに、ピアノ三重奏曲第2番も第1番のすぐ後に書かれている)。室内楽の醍醐味は、名手の演奏によってさらに深まる。このトリオの演奏で、シューマンの世界をさらに深く探究してみたい。

『プラチナ・ソワレ第3夜「冬の夜、シューマンとともに」』 

●12/21(金)18:30開場/19:00開演
堀米ゆず子(vn)山崎伸子(vc)津田裕也(P)
曲目:シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70/子供の情景 Op.15/ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.121/ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 Op.63
会場:東京文化会館小ホール
http://www.t-bunka.jp/

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