菊地雅章 ©Abby Kikuchi
静かに燃焼するエナジーに満ちた3日間
「サウンド」に関わる表現活動の現在を紹介する国際フェスティヴァル「サウンド・ライブ・トーキョー」が、10月26日(金)〜28日(日)までの3日間、東京文化会館小ホールにて開催される。渡る世間はフェスばかりだが、ここに集まる出演者を一望するだけで、本イヴェントの特異な試み、音にまつわる知性とユーモア、思いもよらぬ逸脱と野蛮の企てを伺い知ることができる。
まずは26日、ジャズ・ピアニスト菊地雅章が登場。【ECM】からのリーダー作『Sunrise』も話題だが、今回は2セットによるピアノソロをたっぷり披露。そして27日、「ラジウム・ガールズ」をテーマに1枚の作品を完成させたPhewと小林エリカによるスピーチ・アクトProject UNDARKが登場。今回は音楽担当のディーター・メビウス(クラスター)と後藤まりこを迎えた豪華なステージとなる。そして身体と言語表現の可能性を追求する振付家・山下残に続き、工藤冬里/マヘル・シャラル・ハシュ・バズ。徹底した考察と美しいメロディ、不定形なメンバーが繰り広げるハプニングだらけのアンサンブルは、衝動の美学でいっぱいだ。28日は、イスラム・コミュニティで35年以上アラブ/マレー音楽を演奏しているタイのバンド、ベイビー・アラビアが登場。彼らの活動を追ったドキュメンタリー上映と、こぶしの効いた情熱的な生演奏は一人でも多くの方に体験してほしい。そしてイヴェントの大トリはサンガツ。2012年以降に発表する楽曲の著作権を放棄して物議を醸したことも記憶に新しいが、そんな彼らの音に対する思想、表現における哲学までもが聴こえる演奏になるだろう。また、会場内には、イギリスの演出家ティム・エッチェルスによる作品『Wall of Sound』が展示され、最終日には作品のテクストで言及されている曲を工藤冬里が編集し、子供合唱団が演奏するコンサートも開かれる。我々の耳が主体的に開き、頭の惰性がすっきりリセットされることは間違いないだろう。
マヘル・シャラル・ハシュ・ハズ
『サウンド・ライブ・トーキョー』
10/26(金)菊地雅章
10/27(土)Project UNDARK+ディーター・メビウス/山下残/工藤冬里+マヘル・シャラル・ハシュ・バズ
●10/28(日)映画『Baby Arabia』上映 /Baby Arabia(コンサート)/『Wall of Sound』(音楽監督:工藤冬里)/サンガツ
会場:東京文化会館 小ホール
http://www.soundlivetokyo.com/