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オシリペンペンズ

連載
NEW OPUSコラム
公開
2012/10/24   00:00
ソース
bounce 349号(2012年10月25日発行)
テキスト
文/岡村詩野


彼らの真価が露わとなった新作とライヴ盤が2枚同時にリリースされたよ!



心の内を乱暴に吐き出したような歌詞や、キテレツなライヴの印象から何かと〈キワモノ〉と思われることも多いが、石井モタコ率いるこの4人組は極めて音楽的なバンド。それを改めて伝えてくれるのが、同時にリリースされたこの2作品だ。6曲入りのオリジナル・アルバム『心』は、例えば“時は来た2012”で繰り返されるユーモラスなリフがシルヴァー・アップルズを思わせるし、ちょっとアシッド・フォーク風の“花子”はティラノサウルス・レックスのようにドラッギー。だが、そのサイケ感は意外にも洗練されている。

一方の中村宗一郎のマスタリングで仕上げられた高円寺はU.F.O. CLUBでのライヴ・アルバム『お雪ちゃんは一人で走る気がする』では、中林キララによるギターの多彩なリフにぜひ注目してほしい。好き放題しているかのようなモタコのヴォーカルも、そのギターと殺し合わないよう実は上手く反応していることに驚くだろう。

2枚を合わせて聴くと、この大阪のバンドが坂本慎太郎(『心』に参加している)と同様、サイケはサイケでも垢抜けていてモダンであることに改めて気付くはずだ。