アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! ceroのメンバーが考える〈エキゾ〉なディスクを紹介します! 最終回は橋本翼(ギター/クラリネット)のエキゾ盤!
MARTIN DENNY 『The Very Best Of Martin Denny The Exotic Sounds』 EMI Manhattan
ceroがお送りする〈contemporary exotica records online〉、最終回となりました!
最後にご紹介するのは、マーティン・デニー『The Very Best Of Martin Denny The Exotic Sounds』。
そうです……すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、このお方、超重要人物です。
世界史で言うところのコロンブス、ジャニーズで言うところのジャニー喜多川、なんでんかんでんで言うところの……(以下省略)。そのくらい重要です!
この連載のテーマである〈エキゾチカ〉を代表する人物、すなわち〈マスター・オブ・エキゾチカ〉であります。なので、勝手ながらわれわれceroの先祖にあたる人。
これまでceroのメンバーはあえて紹介していなかったと思いますが、〈じゃ、いつやるか? いまでしょ(ドヤ)〉ということで紹介させてもらいます。
マーティン・デニーさんは1911年、アメリカはニューヨーク州生まれ、若い頃からクラシック・ピアノを学んでいましたが、第二次世界大戦中は空軍兵として兵役を務め、終戦後、音楽学校に通い、40歳の頃からハワイで音楽活動をスタートさせたそうです。
彼は世界のさまざまな民族音楽やクラシック音楽、ジャズ、ハワイアンなどを中心にミックスして独自のエキゾティックな音楽を作り上げました。ゆったりとしていながらも時に妖しい……ハワイの暖かな気候と豊かな自然環境が、彼の音楽とよくリンクしていると思います。
使用楽器の特徴としては、マリンバ/ヴィブラフォン、さまざまな民族楽器など、楽器の音色自体が癒しの要素を持つような、心地良い音色のものが多く使用されています。
また、よく鳥や蛙など動物の鳴き声が聴こえてくるのですが、これ、実は本物の鳴き声ではなく〈鳴きマネ〉なのです。
ホノルルのナイトクラブでの演奏中、外から聴こえてきた鳥や蛙の鳴き声を即興的にマネて、音楽に取り込んだ話は有名です。動物の鳴き声も一つの楽器と捉えている感じがそこはかとなくエキゾ感を醸し出していますな~。
オリジナル曲に加え、ジャズや民謡のカヴァーなど、たくさんの作品を残したマーティン・デニーさんでしたが、2005年、93歳で亡くなりました。彼の意向により、遺灰はハワイの海に撒かれ、参列者はみな赤いアロハやムームーを着て、盛大なパーティーが行われたそうです。
彼の音楽から漂うリラックスした感じは、音楽理論以上にceroはとても影響を受けています。〈雰囲気〉と言いますか〈匂い〉と言いますか……音楽のなかに生活の空気感を採り入れるおもしろさを学びました。
ぜひ一度聴いてみてください、リラックスできますよ~。ちょっとしたプレゼントにも最適です(昔、鳥が苦手な姉にCDをプレゼントしてしまい、図らずも嫌がらせしてしまった経験あり・笑……そこだけご注意ください)。
さて、全6回に渡ってお送りしてきましたceroの〈contemporary exotica records online〉、これまで読んでくださった皆様、タワーレコードさんどうもありがとうございました!
今年10月には、僕らなりのエキゾチカを追求して作った2枚目のアルバム『My Lost City』を発表しました。こちらもぜひチェックよろしくお願いします!
ライヴもやっておりますのでよろしかったら会場に遊びにいらしてください。!
それではまたどこかでお会いしましょう~、さようなら!
PROFILE/cero
髙城晶平(ヴォーカル/ベース/ギター)、橋本翼(ギター/クラリネット)、荒内佑(キーボード/ベース)から成る3人組。2004年に結成され、都内を中心にライヴ活動を行うなか、2008年のコンピ『細野晴臣 STRANGE SONG BOOK -Tribute to Haruomi Hosono 2-』収録の鈴木慶一“東京シャイネスボーイ”へ演奏で参加したほか、同年の『にほんのうた 第二集』にて“青い眼の人形”のカヴァーを提供。2011年にファースト・アルバム『WORLD RECORD』を発表。そして今年10月には最新作『My Lost City』(KAKUBARHYTHM)をリリースしています。11月23日(金・祝)の大阪を皮切りに、各地でレーベルの先輩・YOUR SONG IS GOODのライヴに出演。さらに、2013年1月からは新作リリース記念全国ツアーを開催! 詳しくはコチラへ!!