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倉内太と彼のクラスメイト 『くりかえして そうなる』

連載
SPOTLIGHT!
公開
2012/12/25   00:30
更新
2012/12/25   00:30
ソース
bounce 350号(2012年11月25日発行)
テキスト
文/鬼頭隆生


自身の境遇も元にした楽曲で、日常や現代社会のありのままを歌うシンガーが登場。聴けばあなたも彼のクラスメイト!



倉内太と彼のクラスメイト_A



まったく格好つけることなく、不器用な人柄を映した歌しか歌わない、実直なシンガー・ソングライターだ。83年生まれの倉内太は、小学生でギターを弾きはじめ、地元・埼玉でビートルズのコピー・バンドをやっていたという。2005年にヨーコなるバンドを結成した後、2008年に倉庫内作業員としてアルバイト採用されたのをきっかけに、本格的な楽曲制作と弾き語りのライヴを開始。自主制作盤の発表を経て、ついに初の全国流通盤、倉内太と彼のクラスメイト名義でのファースト・アルバム『くりかえして そうなる』が登場した。〈彼のクラスメイト〉として、住所不定無職や撃鉄、THE BOHEMIANS、THE DROPS、snapなどのメンバーが助力している。

サウンドは倉内のアコースティック・ギターと歌が中心で、曲によってベースやドラムス、鍵盤、コーラスなどを適宜入れるスタイル。高田渡や友部正人に、ジョナサン・リッチマン、ダニエル・ジョンストンなども好むという倉内の志向が反映された、フォーキーで飾らない作風だ。洒落たコード進行が往事のサニーデイ・サービスを思わせる“あの娘ほんとリズムギター”で始まり、バンジョーを入れたアメリカーナ“花とテレビ”、パンキッシュにギターを掻き鳴らす“Rancid”、オールドタイミーなロックンロール“ライナス”など、音楽面の引き出しはさまざま。

そして何より大きな特徴は、彼の歌と詞だ。朴訥とした歌声はどこか少年の面影を残していて、歌とスポークンワーズを行き来しつつ、ときどき声を素っ頓狂に飛び上がらせるようなところも人間臭い。そしてリリックは日々の退屈や音楽を始めたときのワクワク感、報われない恋心を牧歌的なメロディーと平易でシンプルな言葉を使い、実にオリジナルな語り口で綴っている。特に空疎な日常を打ち破ろうとする“倉庫内作業員の毎晩が宴であれ”や“倉庫内作業員の恋〜So Good Night〜”では彼ならではのトピックをユーモラスに描いてはいるが、社会の格差や非正規労働者の苦しい立場も窺わせる。また、〈音楽〉がテーマの“I've got a pop song”“こわいおもい”などは、〈何のために歌うのか〉〈歌とは何か〉といった真理に触れているようで、本作のハイライトと言えるだろう。あくまでもパーソナルな歌で、時代の空気を掬い取ったり普遍的なテーマに肉薄する、これが彼の歌の醍醐味だと思う。



▼参加したクラスメイトの作品を紹介。

左から、住所不定無職の2011年作『トーキョー・ポップンポール・スタンダードNo.1フロム・トーキョー!!!』、12月5日にリリースされる撃鉄の編集盤『撃と鉄』(PERFECT)、THE BOHEMIANSのニュー・アルバム『BOHEMIANS FOR LIFE』(バップ)、THE DROPSの2011年作『Fabulous!』(SKA IN THE WORLD)、snapの2011年作『僕といっしょ』(POPTOP)、三輪二郎の2010年作『レモンサワー』(MY BEST!)

 

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