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bomiの気だるい気配(第6回)

連載
皿えもん
公開
2012/12/10   21:00
更新
2012/12/10   21:00
テキスト
文/bomi


アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! メインストリームからちょっぴり脇道を行く、退廃的な時代のムードを纏った歴代のキッチュな斜ガールの作品をbomiがご紹介!



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SHE & HIM 『Volume One』 Merge



この連載の最終回に、皆さんにご紹介したいのは、ズーイー・デシャネル。

〈ん? 知らないぞ〉という人のほうが多いかもしれない。
もし知っていたとしても、〈映画「(500)日のサマー」や「イエスマン “YES”は人生のパスワード」に出てくるヒロインの女優さんかな?〉という感じなんでないかと思うのだが、特筆すべきは彼女の音楽活動。
それも、かなりどっぷりとドープに、アドラブルなやつ、である……!

「(500)日のサマー」を観た人なら、テンポ良く進む映画のバックで流れているどこか懐古的な音楽を、「イエスマン “YES”は人生のパスワード」を観た人なら、〈ミュンヒハウゼン症候群〉という名前のかなりふざけたイカすバンド(コンセプトは宇宙人!)で記憶に残っているのではないか。
それもこれも、みんなズーイー。

〈でーもー、女優さんでしょ?〉と侮るなかれ。
映画で気になっていた彼女のキャラクターを存分に、そしてより深く感じられるのは、実は彼女の音楽からだったりするのだ。

シー&ヒム――ノラ・ジョーンズの作品へ参加するなどソロでも活躍するM・ウォードと、ズーイーによるインディー・ロック・デュオ。
60年代のポップスを現代の彼女たちなりに解釈し、そのいいところだけをトコロテンみたいにツルッと抽出した、陽気なのに少し胸の奥がキュンとする冬の朝の光みたいな音楽だ。

わたしが彼らの音楽を聴くときは、もっぱらお風呂タイム(笑)。
お風呂で湯船にブクブクブク……と顔を沈めて、考えごとをするときに。
または、ちょっぴり泣きたいときに。
さらにロウソクを点けて、ロマンチックな夜に。

ちょっぴり埃臭い毛布を押し入れから引っ張り出してきて、ホット・ミルクを飲みながら、ついウトウトする。
柔らかい光に照らされた揺れるカーテンの影が瞼にちらついて、眉をしかめて目覚める。
でも、なんだか、心地いいなぁ――そんな感じ。

PVも、とっても可愛くて懐かしい。
キューブリックみたいな近未来感が私のタイプだったりする“Don't Look Back”は、ぜひ観てほしい作品。

でもさ、知らない時代を懐かしいと思う気持ちって、どこからやってくるんだろうね? DNAかな?

ミュンヒハウゼン症候群みたいなバンドやりたいなぁと(映画のなかでは人気のないバンドっていう設定だったけど、ホントにあったら絶対おもしろいと思うの)、密かに夢見ながら、今回は筆を置くこととします。

短い間の連載だったけれど、私を魅了し続ける、破天荒でひと癖あるのに可愛らしくて憎めないオンナたち、みなさんに少しでも上手く紹介できていたらいいなと思います。
これを読んでいるあなたと、本当に素敵な彼女たちの音楽や、彼女たち〈自身〉との出会いのきっかけになれたなら、幸いです。

ではまたみなさん、どこかで、お会いするときまで。
さ! よ! な! ら! あ! り! が! と!



PROFILE/bomi



87年生まれ、NY出身/大阪育ちのアーティスト。2006年、大学進学を機に上京し、音楽活動を始める。2011年にbomiとして始動し、同年11月にタワーレコード限定でミニ・アルバム『Gyao! Gyappy!! Gyapping!!!』を、2012年2月に『OH MY POOKY!!!』を発表。6月にメジャー・ファースト・ミニ・アルバム『キーゼルバッファ』を、10月にファースト・フル・アルバム『メニー・ア・マール』(コロムビア)をリリースしている。年末に向けてイヴェント出演も続々決定! 詳しくはこちら


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