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THE CLASH

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/02/18   11:40
更新
2013/02/18   11:40
ソース
bounce 351号(2012年12月25日発行)
テキスト
文/鈴木智彦

 

デビュー35周年となる2012年、クラッシュの知られざる真実がまたあきらかになった

 

 

クラッシュのドキュメンタリー映画「The Rise And Fall Of The Clash」――NYで行われた〈CBGBフェスティヴァル〉の一環として2012年夏にプレミア公開された作品が、ついにパッケージでリリース(しかも日本先行!)。ロンドンのクラブでの活動初期、81年にNYのボンズ・インターナショナル・カジノで行われた伝説のライヴ、82年のシェイ・スタジアム公演後に崩壊へと向かっていくバンドの姿――そんなクラッシュの歴史を、ライヴ映像と、ミック・ジョーンズや最終期メンバーであるパール・ハーバーらの証言を通して追っている。正直なところ、ポール・シムノンが証言者として登場していないことや、マネージャーのバーニー・ローズが協力を拒否していたりと少し残念な点もあった。しかし、スペインはバルセロナ出身のダニー・ガルシア監督(彼は10歳の頃に初めてクラッシュ〈スペイン戦争〉を聴いて虜になったという)が手掛けた本作からは、人種の違いを乗り越えて、虐げられた者や世界の富から阻害された者たちに連帯を呼びかけながら、その連帯の障害となる大きな壁に闘いを挑み続けた彼らの、猛烈なエネルギーが確かに伝わってくるはずだ。パンク・ロックは当時の若者特有の鬱屈や不満の捌け口として人気を爆発させたものであったが、クラッシュはそこからまた別の次元で闘争を繰り広げた稀有なバンドであることをぜひ感じ取ってほしい。

さらに、バンド解体後のジョー・ストラマーの力強い活動の記録、ジョー・ストラマー&ザ・メスカレロスの3作品も、DVDと同タイミングで復刻された。これを併せて聴いてもらえば、ストラマーがクラッシュ時代の魂(ソウル)を維持し続けながら、闘いを継続させていたことをより鮮明に理解できるはずだ。

 

▼リイシューされたジョー・ストラマー&ザ・メスカレロスの作品を紹介。

左から、99年作『Rock Art And The X-Ray Style』、2001年作『Global A Go Go』、2003年作『Streetcore』(すべてHellcat/Epitaph/ソニー)

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