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(第1回)ニュー・アルバム『Line The Wall』のレコーディング秘話

連載
BO NINGENの人生一度きり
公開
2013/02/28   14:00
更新
2013/03/01   18:00
テキスト
文/Taigen Kawabe(BO NINGEN)


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ロンドン在住のバンド・BO NINGENが、現地の音楽やアートにまつわるあれこれを紹介する新連載! 第1回は、Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)が日本盤もリリースされたばかりな最新作のレコーディング裏話を語ります!



はじめまして、BO NINGENのベース/ヴォーカルのTaigen Kawabeです。今回から毎月メンバー間でバトンを渡す形でコラムを書かせていただきます。第1回目は、2月27日に日本盤をリリースしたセカンド・アルバム『Line The Wall』に関することを。

このレコーディングはロンドン北西部のハレスデン地区にあるリンチ・モブ・スタジオというところで行いました。



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(左)スタジオの入り口。下は鉄工場

(右)スタジオのリヴィング。ここで談笑したりご飯食べたり。プライマル・スクリームのボビーにも遭遇しました



スタジオの後ろは墓地と緑が広がる、とても静かな環境。録音やミックスの合間に買い出しへ行く際も、川沿いを歩いているとそこに水鳥がいっぱいいたりして、気分転換にも最適な環境でありました。特に自然をコンセプトにしたスタジオでなくても、すぐ近くに緑があるのはロンドンの良いところかもしれません。



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スタジオの後ろの墓地。眺めも良く、不気味とはほど遠い、清々しいパワーをもらえる景色でした



そこはプライマル・スクリームやポール・ウェラー、エイジアン・ダブ・ファウンデーションなども使用したスタジオで、録音とミックスを担当してくれたエンジニアも彼らの作品でエンジニア/ミックスを担当している方(諸事情で別名義のため本名非公表)。



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エコープレックスまさにダブワイズ中のファンキー・ナチョ氏



今回のレコーディングでは、六感すべてで体験できるBO NINGENのライヴの良さをパッケージングするのはもちろん前提として、聴覚というひとつの器官だけを使った体験である〈録音物の再生〉でしか到達できないものを追求するというコンセプトがあり、多重録音やプロダクションでの音の加工など、僕が基本的なミックスをした段階からだいぶ実験的な方向性だったのですが、エンジニアのそういった挑戦への理解と経験、そしてUKのトップ・エンジニアとしての耳と判断力にはとても助けられました。



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(左)レコーディングではみんなライヴ衣装を着て演奏しました

(右)録音に使った、厳選寄せ集めドラムキット。キックやカセット、スネアにいろいろ実験的なマイキングをしました



特に、僕が影響を受けているUK低音音楽のベースの低音感、それに合わせたドラムの音の加工などに関しては、彼の手掛けたプライマル・スクリームやエイジアン・ダブ・ファウンデーションが90~2000年代に試みたライヴ・ミュージックとUKクラブ・カルチャー(レイヴ)の融合を、2012年版にアップデートした形で作品に表せたと自負しています。

録音は限られた時間のなかで行われたため、レコーディング中やテイク選び中の緊張感はありました。でも、休憩する時は休憩する、といったスイッチのオン/オフが上手く作用して、全体のレコーディングはとても楽しい思い出です。



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(左)録音したテイクのチェック中。緊張しながら聴く筆者と、すげーチルアウトしながら余裕の表情で聴くストールン・レコーディングス(UKのレーベル)のボス、ポール

(中)クッキングもんちゃん。レコーディング3日目にスタジオのキッチンで美味しいご飯を作ってくれました。美味しかった!

(右)ギタリストもんちゃん



もちろんレコーディング中に大変なことはいろいろあり、個人的に指の皮が剥がれすぎてプレイが困難になり、瞬間接着剤を指先に付けてプレイを続行したり、1日に録るヴォ―カルのテイクが膨大な量になって喉のケアを過剰にしまくったり、ハーバル・ドリンクを飲んだり……。



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(左)シンセを多重録音するKohhei氏。彼はこのシンセを家から運んだ代償で腰をヤラれました

右)疲労困憊でジャマイカのハーバル・ドリンク〈Baba Roots〉を手にする筆者



でもその甲斐あって、予定された時間内に多重録音、ヴォーカル録りも含めて全曲で満足するテイクを録音することができました。

ちなみに、〈サイケ・バンド〉と括られることが多いのでよく勘違いされますが、まったく健全なレコーディングです。シラフの時に判断する〈音楽的なハードル〉がいちばん信頼できると僕は思ってます。

録音後は僕の自宅でミックス→メンバー・ミーティングを繰り返し、方向性を定めてからスタジオに戻って最終ミックス作業。自宅ミックス、スタジオでの最終調整共に、特にリファレンスに使える音楽/音源が何もない状態での作業だったため、実験性と普遍性のバランスが非常に難しく、実験性の妥協とプロダクションとしての前進が紙一重で、悩むところも非常に多かったのですが、前記したエンジニアが示してくれた作品の方向性への理解と彼の膨大な経験、さらに僕たちと彼のアイデアが良い具合に混ざり、プロダクションは非常に実験的でありつつも、全方向に発信していける音像のアルバムが出来たと自負しております。

アルバムに関しては、この他にも思い入れや大変だったことなど書きたいことはいろいろありすぎるのですが、言葉で表現するよりアルバムを聴いてもらうのがいちばんだと思い、ここらで締めさせていただきます。

僕たちのセカンド・アルバムである『Line The Wall』、ぜひとも聴いてみてください。どんな音楽が好きな方でも、絶対に何か引っ掛かる作品だと僕たちは信じています。そして音源が気に入ってもらえたら、ライヴにも遊びに来ていただければ幸いです。アルバムを聴くのとはまたひと味違った、六感での体験をお約束します。

bounceの最新アルバム・インタヴューはこちらから!



PROFILE/BO NINGEN



Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、〈Offset Festival〉をはじめとした地元メディアからも注目を集め、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』をリリース。そして昨年10月に発表したセカンド・アルバム『Line The Wall』(Stolen/ソニー)が日本盤化されたばかり。現在はこの作品を引っ提げて、絶賛来日ツアー中! そして3月20日(祝)にはTOWERDOMMUNE SHIBUYAに登場します! その他、最新情報はこちらのサイトでチェック!



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