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ゲスの極み乙女。 『ドレスの脱ぎ方』

連載
SPOTLIGHT!
公開
2013/03/21   20:15
更新
2013/03/21   20:15
ソース
bounce 352号(2013年2月25日発行)
テキスト
文/金子厚武


ゲスの精神、ここに極まれり!? indigo la Endのフロントマン……の別人格による新バンドが鳴らす、人を喰った破綻ポップ!



ゲスの極み乙女_A



幼い容姿の女の子をわが子のように抱きしめてキリッと前を向く女性、その背後に佇むサングラスの男と、POLYSICS風のゴーグルをした男。何だかただならぬ関係性を思わせるアーティスト写真と、もっとただならぬバンド名からは、〈関西のアングラ・シーンが生んだ新たな珍種か?〉とも思ったが、残念ながら大はずれ。その正体は、この2月に初のフル作『夜に魔法をかけられて』を発表したばかりのindigo la Endのフロントマン、川谷絵音ことMC.Kが昨年5月に結成したバンドだった。ファーストEPのタイトルは、『ドレスの脱ぎ方』というやはりゲスなイメージを連想させる(!?)言葉。ファンタスティックな作風のindigo la Endとは対極にあるようなこの活動、果たして川谷に何が起こったのだろうか?

indigo la Endがツイン・ギターを基調としたポスト・ロック寄りのアンサンブルを特徴とするのに対して、ゲスの極み乙女。はキーボード担当のメンバーを擁し、ダンサブルで、かつ破綻スレスレのイビツな展開をフックにしたアレンジが中心。ピアノの掛け合いによる“ぶらっくパレード”はJERRY LEE PHANTOMあたりを思い起こさせるし、鋭いギターのカッティングとファンキーなベースラインが引っ張るニューウェイヴ風の“モニエは悲しむ”は、キーボードの単音をフィーチャーしたパートがヴィジュアル通りにPOLYSICSを連想させたりもする。川谷のヴォーカルも、〈MC.K〉を名乗るだけあってラップ調で、人間のダークサイドをほじくり返しながら、日常と非日常の、一般人とゲスの境界線(?)を問い質していくかのようなリリックが強烈だ。とはいえ、サビで出てくるポップなメロディーや印象的なモノローグはindigo la End譲りで、そういう点では、両者にバンド名ほどの落差はないと言っていい。

ラストの“ドレスを脱げ”では、曲の途中で川谷以外の3人(ベースの休日課長、キーボードのちゃんMARI、ドラムスのほな・いこか)による芝居風のやり取りが登場する。indigo la Endを聴いても思うことだが、川谷はまるで映画を撮るかのように、映像や物語を頭のなかで想像しながら楽曲を作っているのではないか。さしずめ、indigo la Endが青春・恋愛映画なら、ゲスの極み乙女。はブラックなコメディー。作風の違いこそあれど監督の手法には通じるものがあり、根底の世界観は変わらないのだ。川谷の次作に早くも期待が高まる。



▼関連盤を紹介。

左から、indigo la Endの2012年のミニ・アルバム『さようなら、素晴らしい世界』、同『渚にて』、ニュー・アルバム『夜に魔法をかけられて』(すべてeninal/SPACE SHOWER NETWORKS)

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