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第64回――ドキッとNEWデルフォニックス

無限に再生されるメロディーとグルーヴ

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2013/03/13   00:00
更新
2013/03/13   00:00
ソース
bounce 352号(2013年2月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


甘い感傷や郷愁をそそるデルフォニックスの楽曲だが、後年のリサイクルもさることながら同時代にカヴァーされた例も多く、リリース時からタイムレスな魔力を発揮していたと言える。特にジャクソン5はファルセットの甘さをキッズ声に置き換えて“La La Means I Love You”と“Ready Or Not(Here I Come)”を取り上げており、後のフィリー詣での伏線を敷いていた。その甘い哀感は後にニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック版“Didn't I(Blow Your Mind This Time)”(89年に全米8位のシングル・ヒット)にも受け継がれた。同曲は70年のオリジナル発表直後からラフィン兄弟やエディ・フロイド、アレサ・フランクリン、ミリー・ジャクソンらが順次カヴァー。先述の“La La Means I Love You”もアルトン・エリス、ローラ・ニーロ(ライヴ音源)、スウィング・アウト・シスター、プリンス、フィンガズらが各年代で音盤化していて、ソウル・クラシックというよりもポップ・スタンダードとなっている。

一方、スウィート・ソウル狂のゴーストフェイス・キラーを筆頭に、ジャヒームやグランド・プーバ、シャギー、フォルティDLらに活用されるなど、サンプリング素材としてもデルフォニックスはコンスタントに耳にできる。なかでもフージーズが“Ready Or Not”にて引用したことでリヴァイヴァルした“Ready Or Not(Here I Come)”は、ミッシー・エリオット“Sock It 2 Me”のダイナミックなイントロ使いでも有名になった。そうした評価の極みとなったのは、サウス・セントラル・サークルが“La La Means I Love You”をモロ使いした妖甘曲“U Gotta Deal Wit Dis(Gangsta Luv)”だろう。



▼関連盤を紹介。
左から、ジャクソン5の70年作『ABC』(Motown)、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのベスト盤『Greatest Hits』(Columbia)、アレサ・フランクリンの70年作『Young, Gifted & Black』(Atlantic)、フィンガズの2009年作『Classics For The OG's Vol.2』(Streetlight)、スウィング・アウト・シスターのベスト盤『Best Of Swing Out Sister』(Mercury)、ゴーストフェイス・キラーの2004年作『The Pretty Toney Album』(Def Jam)、フージーズの96年作『The Score』(Ruffhouse/Columbia)、ミッシー・エリオットの97年作『Supa Dupa Fly』(Elektra)、サウス・セントラル・サークルの91年作『South Central Madness』(Pump/Warlock)

 

 

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