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DAVE GROHL

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/04/24   00:00
ソース
bounce 354号(2013年4月25日発行)
テキスト
文/山口智男


老舗レコーディング・スタジオが見つめた名盤誕生の裏話を掘り下げる、初監督作品!



SoundCity_A



フリートウッド・マック、ニール・ヤング、メタリカ、ニルヴァーナなど名立たるアーティストが、後に〈名盤〉と謳われる作品をレコーディングしてきたLAのスタジオ、サウンド・シティ。その42年に渡る歴史を振り返ったドキュメンタリーが、「サウンド・シティ -リアル・トゥ・リール」だ。これはデイヴ・グロール(フー・ファイターズ)の初監督作品となるが、彼のファンだけでなく、ロック・ファンなら誰でも楽しめるに違いない。

 閑古鳥が鳴き、文字通りゴミ溜めと化していたこともあるというスタジオの内幕もさることながら、フリートウッド・マック『Fleetwood Mac』やニルヴァーナ『Nevermind』などの制作に関わった人々が語る誕生秘話での、あまりにも人間臭いエピソードがすこぶるおもしろい。また、みずからインタヴュアーを務め、ニール・ヤング、スティーヴィー・ニックスら先輩ミュージシャンの話を聞きながら目を輝かせているデイヴにもまたワクワクしてしまう。世代を越えた多彩な顔ぶれの出演が叶ったのは、サウンド・シティをテーマにしていることに加え、デイヴの人望に拠るところも大きいだろう。

さらに、彼の熱い思いに共感するアーティストと書き下ろした同作のサントラも先立ってリリースされている。フー・ファイターズのメンバーが大半の演奏を務めていることもあって、オルタナ・ロック調のエッジーな仕上がり。また快哉を叫ばずにいられない数々の豪華共演も実現しており、特にポール・マッカートニーと(カート・コバーン抜きの)ニルヴァーナによる“Cut Me Some Slack”は、〈グランジ版ビートルズ〉とも言える会心の曲。その面々が顔を揃えたレコーディング風景も、ドキュメンタリーにおける大きな見どころだ。本編/サントラ共にデイヴが手掛けたからこその贅沢な内容。ここにはロック・ファンの夢が詰まっている。