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連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/05/22   00:00
ソース
bounce 355号(2013年5月25日発行)
テキスト
文/土田真弓


信頼の目利きレーベルより、ポスト・ロック+エレクトロニカな新鋭が2組同時に登場!



ausやent、epic45など、日本の電子音楽界を牽引する俊英を送り出したprecoより、その審美眼に適った2組の新人がファースト・アルバムを同時にリリース! 共にエレクトロニカとポスト・ロックの要素を併せ持つが、その耳触りはずいぶんと異なるものだ。まず、富山で活動するインスト・バンド、interior palette toeshesのメンバー2人とレーベル・オーナーから成るsmougの『Cloud Sprout』は、なだらかにテンポ・チェンジを繰り返すドラム・サンプルにミニマルかつエフェクティヴなアコギやシンセの旋律を浮かべた、ブレイクビーツ+アンビエントな作品。その陰影に富んだ音像からは、仄かなメランコリアが滲み出ている。

続いては、資料によると千葉出身のKCHC育ち……だがハードコアとは無縁のカラフルな電子音を特徴とするNaomichi Yoshidaのソロ・プロジェクト、fusigiの『Solitary Wonderland』。生楽器の断片と電子ビートが軽やかに戯れるトラックが宮内優里やno.9を彷彿とさせる一方で、ラストには壮大なエレクトロニック・シューゲイザー“Aiue”も。昨年kilkから初作を発表したcellzcellarによるマスタリングも、明度の高い音の粒をよりクリアに磨き上げている。