こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

Tine Thing Helseth『ティーネ』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2013/05/22   12:12
ソース
intoxicate vol.103(2013年4月20日発行号)
テキスト
text:北村晋(タワーレコード本社)

デビュー2作目は、トランペットのオリジナル曲を含んだ本人選曲による魅惑的なアルバム

現在の中学・高校での吹奏楽部では男性がほとんどいないと聞く。既にプロの世界でも女性の金管奏者、ましてや首席奏者が日本だけでなく世界に存在する時代である。一番大型のテューバであっても例外ではなく、海外では実際にオケの女性奏者もいる。この時代に生きていて女性の金管奏者に驚く方はもはや時代遅れと言っても言いすぎではないだろう。

あえてこのような表現を最初にしたのは、昨年EMIデビューを果たしたティーネによる2枚目のアルバム『ティーネ』が凄いからだ。前作『ストーリーテラー』では歌曲をアレンジしたオリジナリティ溢れる選曲でその技量の凄さに驚いたが、今回のトランペットのオリジナル曲を含む意欲的なアルバムでは、技術に加え、その落ち着いた演奏スタイルはまるでベテラン・クラスだ。もちろん女性とは一切感じさせない(語弊があるが体力的に男性との一般的比較に関して)。

あえて言うが決して「色モノ」ではない。彼女を既に知っている方はそう思う訳が無いが、今まで他の楽器を含め言い方は悪いがその手のCDは確かに存在した。しかし彼女に関して言えば、本物だ。そういえば2008年の他レーベルのデビュー盤でも衝撃を受けたのではあるが…。2007年にはノーベル賞のガラ・コンサートのオープニングで演奏し、世界中に映像が流れたのも記憶に新しい。この時も驚いた。

このCDは本人による選曲であり、アルバムのコンセプトも理解しやすい。まず冒頭のイベールで度肝を抜かれ、グラズノフの旋律で酔い…ヒンデミットでは作品の素晴らしさにも感動し、ヴォカリーズでは虜になる(日本盤のみこの後、クライスラーの2曲入り)。彼女は今年25歳。年末には来日もすると聞く。この後、ティーネはトランペット界に名を残すことになるだろう。実際のコンサートを早く体験したいものだ。

LIVE  INFORMATION
速報!2013年来日公演決定!
12/25(水)東京文化会館(リサイタル)
12/28(土)東京オペラシティ(協奏曲)
その他栃木、筑波等で公演予定
http://tempoprimo.co.jp/

RELATED POSTS関連記事