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Tambuco

公開
2013/06/25   12:38
ソース
intoxicate vol.104(2013年6月20日発行号)
テキスト
interview&text:渡部晋也

グラミーにもノミネートされた実力派パーカッション・グループが再来日!

この3月。メキシコを代表するパーカッションアンサンブル、タンブッコが、日本から4名の若手の作曲家をメキシコに招き、さらに初演を行うレジデンシー・プログラムが実施された。タンブッコはリーダーのリカルド・ガヤルドを中心に1993年にメキシコシティで結成されたアンサンブル。国内外で積極的な演奏活動を行っており、グラミー賞にもノミネートされるほどのグループだが、日本人作家の作品を、演奏を通じて紹介してきた功績が認められ、2011年の度国際交流基金賞(文化芸術交流部門)を受賞している。

そんなタンブッコが、将来性のある日本人作曲家に作品を委嘱したわけだが、その制作過程に共同作業を行うというのが今回のプログラムだ。

このプロジェクトに選ばれたのは池田拓実、木下正道、樅山智子、渡辺俊哉の4名。現代音楽の域内とはいえ、それぞれ異なったスタンスで活躍する注目の作家達だ。彼らはまずタンブッコのスタジオがあるメキシコの古都、ハラパでタンブッコと作品の制作を行い。その後メキシコシティでリハーサルに入り、3月9日にはUNAM(国立音楽院)で初演となるコンサートを行った。

このプログラムに当たって、Skypeを利用して事前にリカルドと入念に打ち合わせたという樅山、構想はあったもののほとんどハラパで書き上げたという木下など、作曲家達の準備も様々だった。しかし日本である程度作曲し、参考音源まで持ち込んだ池田も、実際にメンバーと作業を行う中で、どんどん作品が変化していったという。つまり実質この数日間で創り上げたと行ってもいい。そう考えると、タンブッコの集中力は驚異的だと言える。何しろ初めて見る作品を4曲も一度に初演するのだから、普通では考えられないことだろう。事実、ハラパでの作業を終えて、コンサートに向けたリハーサルに入る段階で、まだ通して演奏ができていない作品もあったほどだが、彼らと作曲家達の手で仕上げられ、9日のコンサートでは、作品達は聴衆からの好評を得たことは言うまでも無い。

また、メキシコシティーではUNAMの学生に向けたレクチャーやなども開催されたが、学生へのレクチャーでは作曲手法から、作曲家としての社会との関わりなど興味深い質問が寄せられた。

こうしてできあがった作品が、タンブッコの手によっていよいよ日本での初演を迎えることになる(7/3津田ホールにて)。タンブッコが見初めた若手作曲家のこれらの意欲作は、今後彼らのレパートリーとして演奏され続ける可能性も秘めている。記念すべき初演の機会にぜひ足を運んでみたい。

LIVE  INFORMATION
『タンブッコ×4つの視点 メキシコ⇔日本』

6/29(土)パレア若狭
6/30(日)飛騨市文化交流センター スピリットガーデンホール
7/3(水)津田ホール
7/4(木)愛知県立芸術文化センター
出演:タンブッコ・パーカッション・アンサンブル

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