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スカパラ周辺のあれこれ

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/07/03   00:00
ソース
bounce 356号(2013年6月25日発行)
テキスト
文/宮本英夫


本隊+メンバー個々の作品と、7月は大忙し!



東京スカパラダイスオーケストラと、そのメンバーの別プロジェクトによる新作が3作同時にリリースされるので、まとめて紹介! まず本隊の『Diamond In Your Heart』は、4月にアメリカとメキシコでフェスに出演した際、LAにてジョー・ブレイニー(クラッシュ、プリンスなど)をエンジニアに迎えて制作された。ライヴのテンションを丸ごとスタジオに持ち込んだ演奏が素晴らしく、細美武士をヴォーカルに迎えた表題曲は実に若々しいスカ・パンク。長く激しいインプロが聴ける“LA Traffic”、マイルス・デイヴィスでお馴染みの曲に挑んだNARGOの熱いプレイが胸を打つ“Aranjuez”、沖祐市のオルガンにハード・ロック魂がこもる“Born To Be Wild”のカヴァーなど、聴きどころ満載。異国での短期集中録音が吉と出た快作だ。

一方、その沖は4年ぶり2枚目のソロ・アルバム『Gospel』を完成。ピアノ・インストだった前作から一転して、ハナレグミ、堂島孝平、YO-KING、安藤裕子らが参加したバンド・サウンド主体のヴォーカル・アルバムだ。独特の翳りを帯びた浮遊感あるサウンドと、端正な美しいメロディーは彼ならではで、“光を灯そう〜Let Our Candles Always Burn”では、原田郁子とのデュエットを控えめに披露しているが、素朴で優しいこの声を次回はもっと聴きたいと思う。

さらに、ドラマーの茂木欣一とギターの加藤隆志が柏原譲(フィッシュマンズ、Polaris)と組むSo many tears。その2作目『LOVE & WANDER』は、ロック、ラテン、ファンク、レゲエ/ダブなどの要素が渾然一体となった力強いトラックに、茂木の甘い歌声と叙情的なメロディーがベスト・マッチした傑作だ。佐藤伸治に捧げた“AMAZING MELODIES”のディスコっぽい昂揚感や、加藤が柔らかな歌声を聴かせるフォーキーな“happy birthday”の哀感など、スカパラともフィッシュマンズとも違う味わいがたっぷり楽しめる。