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【第7回】――フェニックス

連載
生形真一の六弦生活
公開
2013/07/17   00:00
ソース
bounce 356号(2013年6月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/溝口和紀(New Audiogram)


ひたすら六弦生活を送る男が、ギタリスト目線も交えて名盤を紹介する連載!



生形連載第7回_A



【今月の一枚】PHOENIX 『Bankrupt!』 Loyaute/Glassnote(2013)

フェニックスを知ったのはひとつ前のアルバム(2009年作『Wolfgang Amadeus Phoenix』)なんですが、フランスのバンドとも知らずに、アレンジもおもしろいしオシャレだなと思って、気に入っていたんです。そうなると、新作も期待するじゃないですか? それで肩透かしを喰らうバンドも多いなか、今回の『Bankrupt!』は1曲目から完全に持っていかれましたね。早くも〈名盤だな〉と思いました。

やっぱり、“Entertainment”がダントツで好きですね。イントロは俺ら日本人からすると、〈ちょっとやり過ぎじゃない?〉ってくらいのオリエンタル感ですが(笑)、サウンドもメロディーも素晴らしい。80sな雰囲気を上手く消化して、まったく新しいものにしていますね。前のアルバムの1曲目(“Lisztomania”)も好きで、今回もそういう感じでくるのかと思ったら、意表をついて歪んだギターで始まって……そこがまずカッコイイと思ったし、サビの展開の仕方とかも、よくぞここまで考えたなという感じがします。サウンド的にはイントロの後半で強烈なコンプレッサーがかかって、ジャスティスなんかを彷彿とさせるエレクトロな感じで、ああいう音の処理の仕方にもセンスを感じます。やっぱり2013年のバンドだなと思いましたね。

曲作りやアレンジの仕方にもちゃんとバンドのカラーが出ていますね。主に前に出ているのはシンセやキーボードですが、リズムにこだわっているギターも抜群です。曲を引き立てながら邪魔にならないカッティングとか、単音のアルペジオっぽいフレーズとか、本当に絶妙で音量はそんなに出ていないんだけど効果的に聴こえてくる。そのへんは本人たちも追求してるんだろうと思います。そういうところ、すごく好きですね。

フェニックスは影響を受けるというか、共感する部分が多いですね。そしてなにより、〈ロック〉というもの自体が古いものと捉えられがちないまの音楽シーンのなかで、どうやって自分たちなりのロックを表現して、それをいまの時代の音として鳴らせるか、というところにすごくこだわっていると思います。俺らもNothing'sを活動しているうえで、そこにいちばんプライドを懸けているかもしれないです。

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PROFILE/生形真一



Nothing's Carved In Stoneのギタリスト。ニュー・アルバム『REVOLT』(エピック)がいよいよ6月26日にリリース! P18のインタヴューもチェックを! その他、ツアーなどの最新情報はオフィシャルサイト〈www.ncis.jp〉にて!!