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『アントニオ・カルロス・ジョビン 素晴らしきボサノヴァの世界』

カテゴリ
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公開
2013/07/22   15:37
ソース
intoxicate vol.104(2013年6月20日発行号)
テキスト
text:栗本斉(旅とリズム)

名曲の数々を、
世界中のアーティストが
歌う姿は圧巻!

ヴィニシウス・ヂ・モラエスとA.C.ジョビン

モノクロで映し撮られた60年代のリオ・デ・ジャネイロ。聞こえてくるのは、オーケストラによる《イパネマの娘》のメロディ。冒頭から“サウダージ”に満ち溢れた、アントニオ・カルロス・ジョビンのドキュメンタリー映像。いや、ドキュメンタリーというのは間違っているかもしれない。なぜなら、この映像にはまったく説明めいたトークやテロップは出てこないから。《想いあふれて》、《おいしい水》、《ワン・ノート・サンバ》、《デサフィナード》といった名曲を、本人及び世界中のミュージシャンが演奏する様子が、ただひたすら淡々と映し出されていく。

まず気になるのが、ジョビン本人の出演シーンだ。ジョアン・ドナート、ヴィニシウス・ヂ・モライス、ミウシャといったキー・パーソンとの共演から、晩年のバンダ・ノヴァをバックにした歌とピアノ、そしてオーケストラをフィーチャーした演奏など、様々なスタイルが確認できる。ジョビン以外だとやはりブラジルの貴重な映像が目白押しで、ガル・コスタ、シルヴィア・テリス、エリス・レジーナ、カルリーニョス・ブラウン、シコ・ブアルキなどが続々と登場。ブラジル以外では、ピエール・バルーやアンリ・サルヴァドールといったフランス勢から、小野リサやマルシアといった日本の映像も挿入されるのが興味深い。

ラストはジョビンがソロで歌う《イパネマの娘》と、カーニバルでマンゲイラの山車に乗って踊る姿。そして、「音楽に説明はいらない」というジョビンの言葉だけを残して、この映像詩は幕を閉じるのだ。

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