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センス・オブ・クワイエット『ザ・ピアノ・エラ2013』

カテゴリ
O-CHA-NO-MA PREVIEW
公開
2013/10/16   10:00
ソース
intoxicate vol.106(2013年10月10日発行号)
テキスト
text :高見一樹


センスオブクワイエット_A



88×7= 2days

めぐろパーシモンホールで7人のピアニストが集う演奏会が行われる。霜月/師走の二日間、3人と4人のピアニストが、それぞれの個性を持ち寄ってピアノに向かう。出演者は、11月30日が矢野顕子、アンドレ・メマーリ、ノラ・サルモリア、翌12月1日が、中島ノブユキ、ニルス・フラーム、高木正勝、平井真美子となる。それぞれピアノの曲を書き、それぞれにピアノに聴きたい音がある演奏家たち、というコンサートだ。それぞれの個性は、ピアノに翻訳されてピアノの音になり、聴く人の心に溶ける。

聴く前に、それぞれの演奏家/作家について知っておくのも演奏会のマナーとしては当然の心がけだが、二日間に分けられて、三人と四人に分かれたことだけを承知して、ピアノの前に腰掛けるピアニストのような気持ちで公演に向かうのも楽しいのではないだろうか。一人ひとりの印象をしっかりと残そうというよりは、始まりの音を聴き、終わりの響きを聴くまでの二日間の旅をつなぐ駅名や地名のように演奏家と曲名を眺めているような心持ちでコンサートを過ごす。

太い響きが身体を揺すった時、それは多分中島ノブユキだろう。音が散策するように踊りだすとき、それは多分矢野顕子だろう。繊細なクラシカルなタッチにはっとしたとき、たぶんアンドレ・メマーリがピアノに向かっている。ニルス・フラーム、高木正勝、平井真美子を聴いているとき、どんなタッチ、どんな音楽の風景にであっているのだろう。音は風、水面に波紋を残し、波紋の様子は言葉になる。音の影のような波紋を書きとめるためにコンサートに訪れたわけではなく、風がほほをなでる様子を感じるように音にふれあうためにそこにいる。そんなピアノを囲む人々の静かな、穏やかな楽しみの二日間の終わりにはきっと、音を紡いだ手の温もりを暖かく感じる人の家路を辿る靴音が、軽やかに響いていることだろう。



LIVE INFORMATION


sense of quiet presents THE PIANO ERA 2013

○11/30(土)17:15開場 18:00開演
矢野顕子/アンドレ・メマーリ(Brazil)/ノラ・サルモリア(Argentina)
○12/1日(日)15:45開場 16:30開演
中島ノブユキ/ニルス・フラーム(Germany)/高木正勝/平井真美子
会場:めぐろパーシモンホール
http://www.novusaxis.com/thepianoera2013.html