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外道

連載
360°
公開
2013/12/25   00:30
更新
2013/12/25   00:30
ソース
bounce 361号(2013年11月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/桑原シロー


ゲゲゲ! 神懸かりな新作を引っ提げて、外道がふたたび伝説を更新した!



外道_A



外道再始動ぉぉぉぉぉ!  ニッポン最強のハード・ロック・トリオと呼ばれ、ジャパニーズ・パンク・ロックの始祖と見なされる彼らは、加納秀人と松本慎二とそうる透の3人で2010年に活動を再開。デビュー40周年目に、10年ぶりのスタジオ・アルバム『魂の叫び』をリリースした! もう一回言うぞ、『魂の叫び』! なんでかわからないけど、30周年の復活のときよりも大声で叫びたい気分になっている。リーダーの加納秀人に話を訊いた。

「〈解散〉とか〈封印〉とか言葉だけの問題で、ずっと活動している感じなんですよ。でも、世の中的に外道をやってもアレかな?って思えたらサッと隠れて違うことをやる。ただ、この時代、外道が必要なんじゃないかと感じられてね。周りにもそんな空気が高まってたし。それから周りのミュージシャンがバタバタといなくなっていることも大きいかな。僕らみたいな音を出せる人はもう日本にいないでしょ?」。

〈外道みたいな音〉とは、情熱と愛をもって聴き手を張り倒そうとする熱血ロック・サウンド。いまこそ泣く子もピタッと黙るような彼らの音楽が必要なのでは?──そんな思いは当方の胸の内にもあって、事あるごとに〈外道コール〉をやっていたところがある。そしてここに届けられた『魂の叫び』は、新曲と代表曲のセルフ・カヴァーで構成された全12曲入り。彼らの支持者、ROLLYが参加した“心の叫び”なるワイルドなロック・チューンもある。“香り”や“ビュンビュン”といった有名曲が初めてスタジオ・レコーディングされた点も見逃せない。

「昔の曲と新曲の違和感が全然ないでしょ? 現在の3人は未知数。まだまだ伸びると思わせてくれるから楽しいんですよ。俺ら、3人バンドで世界最強じゃないですか。もし勝てる奴がいるならば名乗り出てほしい。いっしょに対バンやりましょう! ハッキリ言っていいですか、今回は外道の最高傑作ですよ。昔のアルバムなんて聴かなくていい。外道はここから始まると自信持って言い切れるね」。

ヒデさんは何度も〈いまが青春なんだ!〉と繰り返していたが、その思いはスピード感満点の演奏にクッキリと表れている。また、アナログ・レコーディングを行い、一発録りを目標としたこともアルバム全体の勢いの良さに繋がっている。外道節炸裂のロックンロールからは、若い後輩らに〈格好良いリフを見つけるのに全力を傾けろ!〉と檄を飛ばすヒデさんの声が聞こえてくるかのよう。

「俺はこれまで〈誰々みたいに弾く〉ことなんてめざしたことはない。それよりも、台風が来たときに、俺が放つエネルギーで嵐を消滅させるようなギターを弾くのが目標だった。戦争が起きたとして、俺がギターを弾いたらみんな戦うのが嫌になって止めちゃったとかさ。めざしているところが高いから、あと1000年ぐらい生きないとね。俺の音楽を聴いた人の細胞を良いものに変えられることができればいいと願っている。音で魂に語りかけたい。それをやり遂げるには、時間が足りない。俺は生き返ってまた加納秀人として音楽をやりたいんだよ。走りながらギター弾く姿を観て、あいつ絶対に加納秀人だよ、また戻ってきたよ、って言われたいね(笑)」。

こういう発言が似合う人はもう日本にいないでしょ? 真っ直ぐ物が言えなくなっているこの時代だからこそ、外道が復活しなければならなかった。自分を信じる外道という道を真っ直ぐに進むのだという彼らの心意気は、ストレートな表題からも感じられよう。その道は、アルバム・ジャケットを見ればわかるが、富士山へと通じている。そのアートワークから伝わってくるのは〈自分を信じて、いまを乗り越えろ〉という魂の叫び。外道1000周年記念の日まで、このメッセージをちゃんと残さないといけない。



▼外道の作品を紹介。
左から、2003年作『NOW』(ソニー)、ベスト盤『ベスト外道』(ソニー)、2011年のライヴ盤『いつもの所でブルースを〜 外道 LIVE IN CROCODILE』(富士)