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第52回――野口五郎

連載
その時 歴史は動いた
公開
2014/01/25   00:00
ソース
bounce 362号(2013年12月25日発行)
テキスト
文・ディスクガイド/久保田泰平


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初めは、演歌。71年5月にリリースされた野口五郎のデビュー曲“博多みれん”は、小さい頃からのど自慢大会で鳴らした彼の歌唱力を活かし、〈かわいらしい演歌ホープ〉なるキャッチフレーズで売り出されたものでしたが、中学生の頃からハコバン経験などで腕を磨いたギター少年である彼の、ミュージシャンとしてのポテンシャルを見せるものではありませんでした。そんな彼のデビューはまったくもって振るわず、3か月後にはポップス路線へと方向転換したシングル“青いリンゴ”を発表。この曲のヒットによって、五郎は人気アイドル歌手の仲間入りを果たしました。さらなる転機となったのは、デビュー3年目の春。〈海外のミュージシャンとセッションしたい〉という彼の希望を汲んだ事務所の計らいで、ロンドン・レコーディングを敢行。ビートルズやローリング・ストーンズも使用したオリンピック・スタジオでレコーディングされたアルバム『GORO LOVE IN LONDON』(74年8月発表)が完成した〈その時〉から、ミュージシャン・野口五郎のヒストリーが始まるのでした。

人気アイドル歌手として、引き続きヒット・シングルを送り出していた五郎は、74年10月の“甘い生活”で初の1位を獲得。75年1月の“私鉄沿線”は彼の代表曲と呼ばれるほどのヒットに。ウェットで物悲しい純愛ソングを彼特有のスタイルとして確立させていく一方、75年春には再度ロンドンへ赴き、76年にはLA、77年にはNY、78年にふたたびLAと、現地の錚々たるミュージシャンたちを迎えて海外でのアルバム制作を行います。またこの期間に、実兄で“私鉄沿線”の作者でもある佐藤寛とのユニット、GORO & HIROSHIで三部作となるアルバムも発表し、アーティスト志向をより露わに。海外録音ではないものの、西海岸フレイヴァーのサウンドを聴かせた78年の“グッド・ラック”や、ギターを弾きながら歌う姿をお茶の間に届けた79年の“真夏の夜の夢”“女になって出直せよ”といったシングルでは、より自身のテイストが落とし込まれ、TVヴァラエティーで見せるダジャレの上手さと共に、彼の本質が幅広い層に認知されました。80年代に入ってからもアルバムの充実度は増し、80年発表の『Smile』をはじめ国内の一流ミュージシャンを従えた良作を発表。80年代中盤以降は作品のリリースもスロウ・ペースになっていきましたが、00年には“愛がメラメラ”(サンタナ"Smooth"の日本語カヴァー)で艶のあるギター・プレイを聴かせてくれました。ライヴでは懐メロ歌手ではなく、ミュージシャンとしての魅力を見せつける〈永遠のギター少年〉ぶりはいまもって健在です。

 

野口五郎のその時々



『GORO IN LOS ANGELES U.S.A. -北回帰線-』 Tower To The People(1976)

クルセイダーズのラリー・カールトン(ギター)、スワンプ・シーンで腕を鳴らしたジム・ゴードン(ドラムス)ら名うてのプレイヤーが参加したLA録音盤。フィリー風情のホーンを絡めた“薔薇”、ディスコ調の“航海日誌”、アーバン・ミッド・チューン“汚さずにいられない”などグルーヴィーな楽曲が満載。

 

『南十字星』 Tower To The People(1979)

久方ぶりの日本録音盤。先行シングルとなった“真夏の夜の夢”でバンド・テイストを打ち出した五郎が、ここでは自身のバンド・GOROスペシャル &EVEを率いて全曲でギター・プレイを展開。作家陣には筒美京平に林哲司、つのだひろ、宇崎竜童を迎え、泣き上手な歌謡シンガーとギター少年という2つの個性をバランス良くパッケージ。

 

『ON THE CORNER』 Tower To The People(1981)

長らくお世話になった筒美京平のもとを離れ、自身が作曲した曲を収めるなど、まさに〈曲がり角〉となったアルバム。アーバン・ムードなレゲエ調“楽天家たちの島”、AORテイストの“スクランブル・エッグ”など、羽田健太郎や林立夫、今剛、岡沢章などなど錚々たるプレイヤーをバックに歌う五郎の歌声もいつになくリラクシン。

 

『GOLDEN☆BEST 野口五郎』 ユニバーサル

その多くを筒美京平が手掛けた、流行歌手・野口五郎の足跡を辿るベスト盤。初ヒット“青いリンゴ”をはじめ、本文でも触れている“甘い生活”“私鉄沿線”“グッド・ラック”……そして“19:00の街”まで。トラックリスト中盤、松本隆が書いた“むさし野詩人”あたりから音も歌声もグッと大人の艶を増していくのがスリリングで。

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