最終話で使われたシューマンのピアノ協奏曲、もちろん交響詩『ウルトラセブン』も収録!
オープニングのおどろおどろしさから一転お馴染みのフレーズが飛び出すと、そこはもうウルトラセブンの世界。今年一冊の本が話題となったのをご存じだろうか? 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』特撮史上に残る名場面の一つ、ウルトラセブン最終話、モロボシ・ダンの告白シーン。そこで流れた一曲のクラシック「シューマンのピアノ協奏曲」。演奏はディヌ・リパッティ。かの名場面を支えた曲はどうして選ばれたのか? どうしてディヌ・リパッティの演奏が選ばれたのか? それを紐解くべく作者青山氏が奔走する。曲の特定から多数ある同曲の録音からリパッティの演奏にたどり着くまでの経緯は、「まるで推理小説のよう(ウルトラセブンの音楽を担当した冬木透氏の感想)」に展開していく。本を読み進めていくと、確実に青山氏の追体験をしてみたくなるだろう。その思いを音源にしたかのようなCDが発売されることとなった。初めに収められているのはセブンファンならご存知の方もいるであろう、冬木透氏作曲の交響詩『ウルトラセブン』。
“ウルトラセブン”のテーマ曲から“怪獣出現”“ウルトラホーク発進”“侵略者の魔手”と続く曲は最終回を彷彿とさせる“さようならウルトラセブン”へと続いてゆく。そして登場するのは、告白シーンを彩った『リパッティ(ピアノ)、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、フィルハーモニア管弦楽団による「シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調作品54」。一度でもあのシーンを見たことのある方なら、思わず感涙ものの見事な曲順だ。そしてリパッティ音源の後には、クララ・ハスキルというピアニストの同曲演奏が収録されている。こちらも問答無用の名演だが、印象はまるで違い、青山氏が曲を探し回ったという理由を肌で感じる事ができる心憎い内容。また、他の話で使われたクラシックの名曲が収められている点もポイントが高い。