改心し善人になったヴァルジャンを襲う運命の罠!
愛するコゼットが恋したのは革命の士!
執念深い警官ジャヴェールの魔の手が迫る!

●トーキー・スター第1号とされたフレデリック・マーチは『ジキル博士とハイド氏』(32)でアカデミー主演男優賞を受賞。34年にパラマウントからフォックスへ移籍した。『我等の生涯の最良の年』(46)でアカデミー主演男優賞を再度受賞。『スタア誕生』(37)『セールスマンの死』(51)でもアカデミー主演男優賞候補となった。

●アカデミー主演男優賞を2度受賞した俳優はフレデリック・マーチのほかに、スペンサー・トレイシー、ゲーリー・クーパー、マーロン・ブランド、ダスティン・ホフマン、ジャック・ニコルソン、トム・ハンクス、ダニエル・デイ=ルイス、ショーン・ペンの8名しかいない。

●監督のリチャード・ボレスラウスキーはポーランド出身の亡命ロシア人で、アメリカへスタニスラフスキー理論によるメソッド演技を伝えた先駆者の一人。1929年からハリウッドで監督をするようになり、34年以後コンスタントに監督作を発表したが、本作の2年後の37年に急死した。他の作品に『戦ふ巨象』(35)『沙漠の花園』(36)『真珠と未亡人』(37)などがある。

●脚色は『ピグマリオン〈V〉』(38)でアカデミー潤色賞候補になったイギリス出身のW・P・リップスコームが担当した。

●グレッグ・トーランドは本作のほか『市民ケーン』(41)など5作品でアカデミー撮影賞にノミネートされ、『嵐が丘』(40)で白黒撮影賞に輝いたアメリカ映画史上最高のカメラマンのひとり。1948年に惜しくも44歳の若さで他界した。

●1935年度第8回アカデミー賞で作品賞、撮影賞(グレッグ・トーランド)、編集賞(バーバラ・マクリーン)の候補となった。

●ファンティーヌを演じたフローレンス・エルドリッジはジャン・ヴァルジャン役のフレデリック・マーチ夫人。2人は『コロンブスの探険』(49)『風の遺産〈TV〉』(60)などでも夫婦共演しているハリウッドでも有名なおしどり夫婦だった。

●けなげに生きる幼いコゼットを演じたマリリン・ノウルデンは撮影当時8歳の子役スターで、他に『孤児ダビド物語』(35)『ショウ・ボート』(36)『汚れた顔の天使マリー・アントアネットの生涯』(38)などに出演している。

原題 Les Miserables (1935)

1935年9月日本公開