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87歳のトスカニーニが最後に、全精神、霊魂こめた「仮面舞踏会」

トスカニーニ

「トスカニーニ最後のオペラ演奏《仮面舞踏会》 HMV-LPの音で復活」
“あと、もう1曲、どうしても残して置きたいヴェルディ作品があった”
87歳のトスカニーニが最後に、全精神、霊魂こめた「仮面舞踏会」

歌劇《仮面舞踏会》は、壮大なマイヤベーアらのグランド・オペラ様式の影響も考えられるスケールの大きな物語の筋立てと、華麗な展開を示すオペラで、主な登場人物に与えられたアリアも、かつてのカヴァティーナ、カバレッタの形式から雄大なアリオーソに姿を変えて訴えかけ、オーケストラも初期作品のような類型的伴奏から、シンフォニックな繊細にして微妙、そしてリアルな表現力で歌唱を支えて感動を呼ぶ名作だ。
ヴェルディの力作揃いの作品が続くオペラの中でも、数年後の《運命の力》(1862)や《ドン・カルロ》(1867)と並ぶ中期の3大傑作のひとつに数えられている。
この《仮面舞踏会》全曲は、20世紀を代表する大指揮者であったマエストロ、アルトゥーロ・トスカニーニ(1867~1957)の指揮により、1954年1月17日と24日の2回にわけて、NBCが全米にライブ中継放送のために、ニューヨークのカーネギー・ホールで、聴衆を入れたコンサート形式でおこなった演奏の録音である。
予定された2回の放送のためのコンサートを振り終えた後、トスカニーニは上機嫌で「これが私の最後のオペラ演奏だよ」と言ったとマエストロの伝記著者ハーヴェイ・サックスは書いている。そして「4歳のとき、桟敷の中で《仮面舞踏会》の演奏を聴いて、私は人生を始めた。その私が87歳で同じ作品を指揮して一生を終えるのだ」とも。「もう公開の場での指揮はしない。するとしても録音の時だけだ」…トスカニーニ引退のニュースが世界を走った。
それだけに6月に《アイーダ》と《仮面舞踏会》の録音の1部で「レコード化するにあたり、どうしても満足できない幾つかのパッセージを録り直すために」カーネギー・ホールでNBC交響楽団を指揮したことなど記録に値する録音余話である。録り直しの部分を含む演奏は冴えわたり、《仮面舞踏会》でも、「私は劇場の人間だ」という言葉が生涯を通じての口癖となっていたトスカニーニにとって、このオペラが、彼の終生の「神」であったヴェルディのすべてを、全幕に象徴する、素晴らしい劇場感覚に溢れた名作であることが、終始切れ味鋭い表現力によって再現されている。(小林利之氏)

【曲目】
ヴェルディ: 仮面舞踏会(全曲)
[CD1] 第1幕
[CD2] 第2幕、第3幕
【演奏】
アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮) NBC交響楽団
リッカルド: ジャン・ピアース(t)
アメリア: ヘルヴァ・ネルリ(s)
レナート: ロバート・メリル(br)
オスカル: ヴァージニア・ハスキンズ(s)
ウルリカ: クララーメ・ターナー(ms)
シルヴァーノ: ジョージ・チェハノフスキー(br)
サムエル: ニコラ・モスコーナ(bs)
トム: ノーマン・スコット(bs)
ロバート・ショウ(指揮) ロバート・ショウ合唱団
【録音】
1954年1月17-24日、カーネギー・ホール
原盤: UK-HMV LP

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ワーグナー&ヴェルディ

掲載: 2013年02月06日 17:39

更新: 2013年02月06日 18:00