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ロシア・アヴァンギャルドの最先端を駆けた作曲家~『アルトゥール・ルリエ:ピアノ作品集』(3枚組)

ルリエ

ロシアで生まれ、1920年代まではソ連楽壇の指導的作曲家の一人として活躍。しかしロシア革命を経て、国政について賛同できなくなり、ベルリンに出張した際、そのまま亡命してしまったという作曲家アルトゥール・ルリエ(1891-1966)。当然の事ながらソ連では彼の作品の演奏、出版は禁止され、その存在は抹殺されてしまいましたが、ソ連時代の友人とは連絡を取っていたようで、パリ在住時に旧友からストラヴィンスキーを紹介され熱烈な擁護者となりました。ルリエはストラヴィンスキーの作品に関する論文を執筆、また管弦楽作品のピアノ版を作成するなど、その紹介に大いに尽力したのですが、紹介してくれた旧友と諍いを起こし、それが元でストラヴィンスキーとも疎遠になり、1931年以降はお互いの交流も止めてしまったということです。ルリエ自身の作品は当時の前衛に位置する作風を持ち、同時代の詩人や画家の作品からインスパイアされていたり、時にはストラヴィンスキーの作品にも似ていたりと、多彩な様相を呈しています。しかし四半世紀に渡りこれらの作品は封印されていて、再評価が始まったのはつい最近のこと。この3枚組はルリエの作品の入門にも成り得る充実した作品集です。
(ナクソス・ジャパン)

【収録曲目】
ルリエ(1891-1966)
【CD1】
5つの前奏曲断章 Op.1(1908-1910)
2つの版画(1910)
2つのマズルカ Op.7(1911-1912)
4つの詩曲 Op.10(1912-1913)
2つの詩曲 Op.8(1912)
仮面劇(誘惑) Op.13(1913)
【CD2】
メヌエット(グルックによる)(1914)
Syntheses-合成 Op.16(1914)
大気のかたち(1915)
Dvevnoj uzor-議事録(1915)
子供部屋のピアノ(1917)
ソナチネ(1917)
アップマン-煙のスケッチ(1917)
ナシュ・マシュ(われらの行進曲)*
トッカータ(1924)
ワルツ(1926)
【CD3】
「ファ」による小組曲(1926)
ジーグ(1927)
行進曲(1927)
夜想曲(1928)
間奏曲(1928)
ヤギの子守歌(1936)
フェニックス公園の夜想曲(1938)
女性の死の過ち*
【演奏】
モーリッツ・エルンスト(ピアノ)
オスカール・アンスル(ナレーション)*
【録音】
2013年4月2-4日、ベルリン、スタジオ・ゲルトナーシュトラーセ
2016年3月21-24日、RBB第3ホール

ギドン・クレーメルが作品を取り上げることによって、ようやくその存在が認知されるようになったアルトゥール・ヴァンサン・ルリエはロシア革命の時代、シャガール(美術)、メイエルホリド(演劇)らとともに、革命政府から文化芸術部門の責任者に任命された作曲家でした。
1892年、裕福なフランス系ユダヤ人の家庭に生まれたルリエは、当時のペテルブルクの文化的な環境で育ちました。長じてペテルブルク音楽院に進み、プロコフィエフは彼の同窓生です。ピアニストを目指し、作曲はほとんど独学。象徴派の詩人アフマートワたちと親しく交友したルリエは、1910年代には未来派の運動に傾倒し、新しいロシア=ソ連の象徴として革命直後、教育人民委員会に持ち上げられたのです。
しかし、革命政府が文化人や芸術家たちに求めたものが、無知な大衆の教育であったことが判りはじめ1921年、西側への亡命を敢行しました。以来、旧ソ連ではルリエの存在は抹殺され、禁じられた作曲家となったのです。
このCDに収められている「大気のかたち」は画家、ピカソに献呈されていて、音の断片が万華鏡のように散りばめられた作品。音楽を時間という物語性から解放して、純粋に音響として構築しようと試みた、音楽によるキュビスムを志向したピアノ曲です。また、マヤコフスキーの詩に曲を付けた「われらの行進曲」(1919)はメロディーを持たず、全編をジュプレッヒシュティンメの叫びが覆います。一聴するとワルツのような雰囲気さえある摩訶不思議なマーチは、まさに未来派の面目躍如というべき作品でしょう。このCDには、亡命後に印象主義、新古典主義に傾倒して行った作品も収められていて、ルリエの全貌を知る格好のセットになっています。
(タワーレコード)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2016年11月05日 00:00