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パパヴラミとロトによる世界初演の記録!マルク・モネ《動き、予見できない、そして...》他、協奏曲集

マルク・モネ協奏曲集

ACCディスク大賞受賞盤
パパブラミ&ロト、コッペイ&アルミンクのスリリングな名演!
超豪華メンバーによるモネ独自の音楽世界

フランスの作曲家マルク・モネ(1947~)は他の同世代作曲家のようにセルエル音楽やスペクトル音楽に与するのではなく、独自の音楽語法により作品を世に問い続けている孤高の存在です。彼の興味は音楽分野だけではなく芸術全般に向かっており、、ダンサーのマース・カニンガム(1919~2009)、映画監督のジャン=リュック・ゴダール(1930~)、詩人、演劇家のアントナン・アルトー(1896~1948)などのクリエイターの作品との出会いによる衝撃に基づいています。新しい作品に向かうごとに、前もって構成を決めることなく、作品の中に新しい発見と新鮮な驚きを保つことに全力を尽くす彼は、既成の構造やレトリックに決して頼ることがありません。意図的に修辞学の不連続性と断片化が生まれる彼の作曲スタイルからは独特のダイナミズムが生まれています。マルク・モネはあらゆる音楽的パラメータ(テンポ、音域、ニュアンス、音色、フレージング...)において、極端な感覚をもっています。このような強硬なアプローチは、彼の音楽が演奏されるスピードに反映されており、しばしばその限界まで追い込まれます。

ソリストやアンサンブル、オーケストラのための音楽の分野では、マルク・モネは慎重にコンチェルトの名前を避けています。彼は、それが形式的にもイデオロギー的にも既成のヴィジョンを伝えているので、それを拒否しています。このジャンルにアプローチするにあたって、ソリストとオーケストラの「コンチェルタンテ」という関係を意識的に捨て、その代わりに、「包括的な」「統合された」関係を求めています。

ヴァイオリンの協奏作品「動き、予見できない、そして…」はアルバニア出身の名手パパヴラミの独奏、フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮、バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団との共演。2013年9月20日の世界初演ライヴの模様を収めています。モネお気に入りの詩人シャルル・ペンネキン(1965~)の詩句をスコアに掲げており、そのテキストから受けた衝動を音楽化した単一楽章の作品です。ヴァイオリン独奏には極端な名人芸が求められ、オーケストラには鳥や動物の鳴き声も含まれ、管楽器奏者にはマウスピースを使った「風の音」を求め、金属板を弦に固定したピアノも用いられます。パパヴラミのセンスとテクニックはこの作品に全く相応しく、現代作品紹介にも非常に熱心なロトは、ここでも緊張感に満ちた鋭い解釈を聴かせてくれます。

チェロの協奏作品「動きなく、世界なく」は名手コッペイの独奏、クリスティアン・アルミンク指揮、ベルギー王立リエージュ・フィルとの共演。初演は2010年9月17日、このCDとおなじコッペイのチェロ、オーケストラはインバル指揮のフランス放送フィルにより行われました。非常に変化に富んだ10の部分からなる35分の大作・超絶技巧の作品ですが、ソリストとオーケストラは完璧なテクニックによる熱い演奏を聴かせてくれます。

このCDはフランスでのローカル・リリース時に権威あるACC(アカデミー・シャルル・クロ)ディスク大賞を受賞しています。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

【曲目】
マルク・モネ:
(1)動き、予見できない、そして…
(2)動きなく、世界なく~チェロと管弦楽のための

【演奏】
テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)、フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)、バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団(1)
マルク・コッペイ(チェロ)、クリスティアン・アルミンク(指揮)、ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団(2)

【録音】
(1)ライヴ録音:2013年9月20日/音楽会議センター(ストラスブール)世界初演の録音
(2)ライヴ録音:2011年12月16日/フィルハーモニック・ホール(リエージュ)

マルク・モネの音楽的美学は、フランスの同時代人の多くと根本的に異なっています。実際、彼のアプローチは、1945年前後に生まれた他の作曲家たちが採ってきたセリエル音楽やスペクトル音楽のようなスタンスから大きく離れています。これは当然ながら、作曲家自身の個性と結びついています。マルク・モネの参考文献は異なります。彼の音楽に対する姿勢は芸術全体、特に演劇、映画、美術、写真などへの深い関心によって養われています。美的傾向や流行に左右されることなく、それ自体の本質的な価値を求めて作品を厳選してきました。彼の音楽は、ダンサーのマース・カニンガム(1919~2009)、映画監督のジャン=リュック・ゴダール(1930~)、詩人、演劇家のアントナン・アルトー(1896~1948)などのクリエイターの作品との出会いによる衝撃に基づいています。現代美術に深く根ざしながらも、戦後のアヴァンギャルドの複雑さからは距離を置き、その時代特有の実験精神を放棄することなく、90年代以降のよりシンプルなスタイルへのシフトを完全に拒否しています。

新しい作品に向かうごとに、彼は前もって構成を決めることなく、作品の中に新しい発見と新鮮な驚きを保つことに全力を尽くします。彼は決して既成の構造やレトリックに頼ることがありません。意図的に非合理的で非直線的な彼の音楽スタイルは、固有の因果関係のない素材のパッチワークへと変化してゆきます。このようにしてモネの文体の主要な進め方の一つである、修辞学の不連続性と断片化が生まれ、そこから独特のダイナミズムが生まれています。例えば、ある種の高揚感や、器楽的なヴィルトゥオシティの展開、また、非常に簡素で純粋な瞬間を聴き取ることができます。マルク・モネはあらゆる音楽的パラメータ(テンポ、音域、ニュアンス、音色、フレージング...)において、極端な感覚をもっています。さらに、彼はパトスを避け、ほとんど虫眼鏡を使って、音楽の素材そのものを細かく観察することを好みます。そして、この観察は、時には強迫観念、最後まで素材を利用したいという頑固さに変わることさえあります。このような強硬なアプローチは、彼の音楽が演奏されるスピードに反映されており、しばしばその限界まで追い込まれます。

彼のもう一つの特徴は皮肉のセンスです。最初は非常に叙情的ですが、メロディックなラインが軋み始め、官能的なハーモニーはクラスターを通してフィルタリングされ、楽器の音がノイズによって分断され、テンポはサイレンや鳥の鳴き声、電子音によって乱されます。遊び心のある音域が彼のスタイルの特徴であることは間違いありません。サーカスのように、マルク・モネは火遊びが好きで、綱渡りのように危険を冒します。このようにして、マルク・モネは、時間と空間における音楽の展開に、ある種の演劇性を取り入れることを楽しんでいます。

ソリストやアンサンブル、オーケストラのための音楽の分野では、マルク・モネは慎重にコンチェルトの名前を避けています。彼は、それが形式的にもイデオロギー的にも既成のヴィジョン(ソリストの過大評価、集団の中での優位性、あるいは聴かれようと努力すること)を伝えているので、それを拒否しています。このジャンルにアプローチするにあたって、ソリストとオーケストラの「コンチェルタンテ」という関係を意識的に捨て、その代わりに、「包括的な」「統合された」関係を求めています。
(ライナーノーツより抄訳:板倉重雄)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2020年05月08日 00:00

更新: 2020年06月15日 00:00