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Brilliant Classics~2023年6月下旬発売新譜情報(8タイトル)

ブリリアントクラシックス

ブリリアント・クラシックスは1997年にオランダのピアニスト、ピーター・ヴァン・ウィンケルによって設立された廉価盤レーベルです。始めはオランダで500店舗を展開するドラッグ・チェーンのみで発売され、低価格と同チェーンの広告誌での宣伝効果により爆発的な売り上げを示しました。オランダでの成功を受けて世界展開を始め、2010年にドイツ、ハンブルクを拠点とする独立系の音楽配給会社エーデルの傘下に入った後も、毎月のように廉価盤の新譜を10点程度リリースしています。ここでは2023年6月下旬新譜8タイトルをご紹介いたします。
(タワーレコード)

(1)20世紀フランスのオルガンの巨匠ラングレーの全貌に迫る大型企画が開始!

ラングレー:オルガン音楽 第1集(5CD)
ジョルジョ・ベナーティ、ファウスト・カポラーリ(オルガン)

大型プロジェクトの第1弾。ラングレーの弟子だったオルガニストのジョルジョ・ベナーティが監修し、ブックレットの解説もベナーティが執筆しています。レコーディングは音楽のスタイルや要件に適した楽器をイタリアの様々な教会から選んでおこなわれ、ベナーティのほか、フランス・オルガン音楽に精通したファウスト・カポラーリも加わって膨大なラングレーの遺産に挑んで行きます。また、オルガン曲だけでなくハルモニウムのための作品も収録。
伝統的な様式と現代的な技術を組み合わせたラングレーの音楽は、気分やダイナミクス、テクスチャーやハーモニーの変化に富むものながら親しみやすく、教会旋法を用いた美しい作品が多いことでも知られています。レジストレーションにもこだわっていたラングレーなので、新しい録音の登場は歓迎されるところです。

(2)フリーデマン・バッハを名手に育てたオルガン曲集

J.S.バッハ:トリオ・ソナタ集 BWV 525-530
マヌエル・トマディン(オルガン)

バッハの「オルガン・ソナタ集」BWV 525~530は、長男フリーデマンのオルガン演奏技術を完成させる目的で書かれたとされる曲集。イタリア的な3楽章形式を採用したソナタ6曲で構成されており、「右手」「左手」「両足」で、3つのパートを独立的に演奏することから「トリオ・ソナタ」と呼ばれています。
フリーデマンの意欲を高めるためか、オリジナルはバッハの過去作のキャッチーなものが中心で、そのため曲調も親しみやすく魅力的。モーツァルトが第2番の第2楽章と第3楽章、第3番の第2楽章を弦楽三重奏用に編曲しているほか、数多くの編曲ヴァージョンが生み出されてもいます。
演奏はイタリアの博識な名手、マヌエル・トマディンで、楽器はオランダのフォレンホーフェにある聖ニコラス大教会のA.ボッシュ/F.C.シュニットガー・オルガンを使用。

(3)複合的大規模活動に支えられたフランスのクラリネット音楽界

19~20世紀のフランスのクラリネット音楽
アルド・ボッタ(クラリネット)、クララ・ドゥット(ピアノ)

フランスのクラリネット音楽界は19世紀なかばから、作曲、演奏ともに世界有数の高水準が維持されています。背景には、優れた課題曲の作曲を推奨し続けたパリ音楽院の存在や、楽器の改良に取り組んだ大手メーカーのビュッフェ・クランポン社、セルマー社の努力という非常に規模感の大きな活動があり、さらに技術的な進化を作品に反映させた目利きの作曲家たちの影響もあったと考えられます。このアルバムでは、1888年から1950年にかけて作曲されたフランスのクラリネット作品を、イタリアの名手、アルド・ボッタが演奏。

(4)ヴァイオリンとピアノによるまさかの第九!

ベートーヴェン(ハンス・ジット編):交響曲第9番 ヴァイオリン&ピアノ版
マウロ・ログエルチョ(ヴァイオリン)、エマヌエラ・ピエモンティ(ピアノ)

グリーグ「ノルウェー舞曲」のダイナミックで色彩豊かな管弦楽編曲で知られる後期ロマン派の音楽家ハンス・ジットは、管弦楽から室内編成への編曲も得意で、ベートーヴェンの交響曲も9曲ともヴァイオリンとピアノのためにアレンジしています。今回のアルバムはそこから第9番が選ばれてレコーディングされたもので、約64分の巨大ヴァイオリン・ソナタとして聴いたり、オケや声楽のパートがどうやって表現されるか確認しながら聴いたりと楽しみ方もいろいろありそうです。ブックレットには、ヴァイオリニストによる解説のほか、アレッサンドロ・ソルビアティによるハンス・ジットの編曲に関する解説などが掲載されています。

(5)複弦5コースのバロック・ギターがシャープに豊かに鳴り響く優秀録音盤

デ・ムルシア: ギター音楽
ミゲル・アレハンドロ・ヌニェス・デルガド(バロック・ギター)

スペイン女王マリア・ルイサと駐スイス特使のアンドリアーニに仕えたスペイン・バロックの作曲家、サンティアゴ・デ・ムルシアのギター作品集。楽譜発見のゆかりの地でもあるメキシコ出身のギタリスト、デルガドが見事なテクニックで複弦5コースのバロック・ギターを操り、フォリアの哀愁からタランテラのかき鳴らしまで、気持ちの良い音で収録されています。

(6)衣装にまでこだわる演奏家による知られざるクラヴサン音楽の探求

ジョラージュ:クラヴサン曲集第1巻
フェルナンド・デ・ルーカ(チェンバロ)

フランス・バロック後期の音楽家、シャルル=アレクサンドル・ジョラージュは、波乱万丈の亡命ポーランド王に仕えていたことでも知られていますが、まとまった録音は無かったので、今回、世界で初めてジョラージュ作品で唯一現存するクラヴサン曲集が全曲録音されたのは朗報です。演奏のフェルナンド・デ・ルーカは、衣装にまでこだわる古楽器演奏家で、これまで、クリストフ・モワロー:クラヴサン曲全集(7CD)、クリストフ・グラウプナー:チェンバロ曲全集(14CD)、ニコラ・シレ:クラヴサン曲集(1CD)、ヘンデル:ベルガモ写本チェンバロ曲集(1CD)というマニアックな曲集で高い評価を得ています。

(7)スペイン語による世俗カンタータ集~ダストルガ、デ・セルケイラ、デ・トーレス作品集

クリスティーナ・バヨン・アルバレス(S)、ノエリア・レべルテ・レシェ(gamba)、ディエゴ・レヴェリク(archlute)、フェデリコ・デル・ソルド(cem)

バロック後期にスペイン語で演奏されていたソプラノ独唱による世俗カンタータを集めたアルバム。歌はマラガ大聖堂のイリバレンの書いたユニークな宗教音楽アルバムで表情豊かな歌唱を聴かせていたクリスティーナ・バヨン・アルバレス。イリバレンではフラメンコばりにカスタネットが鳴り響く曲もあったりしたのが記憶に新しいですが、その時の指揮とチェンバロは今回のレコーディングにも参加しているフェデリコ・デル・ソルドでした。

(8)フランス革命の激動を生き24歳で夭折した作曲家の傑作

ジャダン:ピアノ・ソナタ集 Op.4, Op.5, Op.6(2CD)
マレク・トポロフスキ(フォルテピアノ)

フランスの音楽家ファミリーに生まれたヤサント・ジャダンは、8歳で作曲を始め、13歳で有名な演奏会「コンセール・スピリチュエル」で作品が演奏されるほどの天才でした。以後、結核により24歳で亡くなるまでの11年間、フランス革命の激動の中で、ピアニスト・作曲家として活躍し、シューベルトやドゥシェクにも一脈通じる個性豊かな作品を書き続けていました。ブックレットのエッセイでジャダンの生涯と作品を紹介しているマレク・トポロフスキは、ポール・マクナルティ製作アントン・ヴァルター・モデルのフォルテピアノを演奏しています。

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2023年06月08日 00:00