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キャスリーン・パーロウ『アウアーのレガシー』~英HMV、米Columbia、加CBC録音集成!(2枚組)

キャスリーン・パーロウ

20世紀初期に世界的な人気を博したキャスリーン・パーロウ。ワールド・ツアーで日本を訪れたこともある彼女の懐かしのSP復刻に加え、大注目の初出音源を収録!

レオポルト・アウアーの門下の演奏家を紹介するBiddulphレーベル「アウアーのレガシー」シリーズ第2弾は、カナダ生まれの伝説的女性ヴァイオリニスト、キャスリーン・パーロウ(1890-1963)です。パーロウは幼くして才能を発揮し、サンフランシスコでシュポアの弟子ヘンリー・ホルムズに師事、6歳でリサイタル・デビュー。14歳でイギリスにデビューした際は、バッキンガム宮殿で国王エドワード2世のために演奏、その後ロンドン交響楽団とベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を共演し、ベヒシュタイン・ホール(現ウィグモア・ホール)でリサイタルを行いました。
ミッシャ・エルマンの演奏を聴いて感銘を受けたパーロウは、エルマンの師レオポルト・アウアーに師事することを決め、16歳の年にサンクトペテルブルク音楽院に入学。エルマン(パーロウの1歳下)、エフレム・ジンバリスト(1歳上)らと同じクラスで学びました。アウアーがノルウェーのクリスチャニア(現オスロ)で夏期講座を行っていた縁で同地を訪れたパーロウは、ノルウェー国王夫妻の前で演奏し、ある富豪からヴィオッティが使っていた1735年製のグァルネリ・デル・ジェスを贈られました。またハルヴォルセンはヴァイオリン協奏曲を作曲して彼女に献呈しています。
その後はイギリスを拠点として、欧州でビーチャムやワルターといった巨匠たちと共演を重ねて名声と人気を高めました。1909年にはHMVが当時のスター歌手と並ぶ破格の条件で録音契約を提示、1912年にはビクターが擁するクライスラー、エルマン、モード・パウエルへの対抗馬として米コロムビアにスカウトされました。第1次世界大戦後はワールド・ツアーを敢行。1922年には日本を訪れ、ニッポノホンに録音も遺しましたが、1920年代末にはコンサート・ツアーと録音から身を引き、1941年から1963年に亡くなるまでカナダに居を定めて、トロント大学で教育活動を行いつつ、折に触れて室内楽や協奏曲の演奏を行いました。
このアルバムにはパーロウがイギリスHMVと米コロムビアに行った録音をすべて収録。加えてカナダCBCの放送音源も収録(初発売)しています。彼女の演奏はルバートやポルタメントを多用した、非常にロマンティックなもの。現代の演奏とは趣が異なりますが、エレガントなヴィルトゥオジティは他に代えがたい魅力を放っています。パーロウの盤歴はSP時代で止まっていたため、そのレパートリーは小品主体だったのですが、今回発掘された放送音源を通じてメンデルスゾーンやバッハの大作の演奏を聴くことができます。また、これまでほとんど知られていなかった50代、60代の演奏を聴けることはファンにとって嬉しい驚きでしょう。ゆったりとしたテンポで始まりポルタメントを多用するメンデルスゾーンは、典型的なロマンティック・スタイル。一方、バッハのパルティータは速めのテンポでグイグイと弾き進めつつ、対位法の綾をくっきりと浮かび上がらせる力強い演奏。13分40秒で弾き切ったシャコンヌは、テンポとダイナミックスを控えめながら効果的に操作することで各変奏の性格をきっちりと描き出し、曲全体の構造とドラマティックな高揚を直結させた熱演となっています。生演奏の一発録りのようで演奏上の傷はありますが、66歳のパーロウが達していた境地を印象強く伝えます。
ブックレット(英語)にはWayne Kileyの含蓄に富んだ解説に加え、パーロウが使っていたグァルネリ・デル・ジェスのカラー写真2枚、貴重なモノクロ写真15枚(表紙含む)が掲載されており、「弦のBiddulph」らしい充実した作りとなっています。
(ナクソス・ジャパン)

【曲目】
[CD1]
HMV録音集(1909)
1. ニコロ・パガニーニ(1782-1840):常動曲(無窮動) Op. 11
2. ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750):G線上のアリア(ヴィルヘルミ編)
3. ヨハン・ハルヴォルセン(1864-1935):『モザイク組曲』-第4曲「ヴェスレモイの歌」
4. ハルヴォルセン:ノルウェー舞曲第2番 イ短調
5. フレデリック・フランソワ・ショパン(1810-1849):夜想曲 ニ長調 Op. 27 No. 2(ヴィルヘルミ編)

米コロムビア録音集(1912-1916)
6. フランツ・シューベルト(1797-1828):楽興の時第3番
7. リッカルド・ドリゴ(1846-1930):火花のワルツ(アウアー編)
8. フリッツ・クライスラー(1875-1962):愛の喜び
9. ショパン:夜想曲 変ホ長調 Op. 9 No. 2(サラサーテ編)
10. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827):メヌエット ト長調(ブルメスター編)
11. トマス・ムーア(1779-1852):アイルランド民謡集-夏の名残りのぱら
12. アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904):ユモレスク ト長調
13. アントン・ルビンシテイン(1829-1894):メロディ ヘ長調
14. J.S.バッハ:ガヴォット-無伴奏ヴァイオリンのためのパルティーダ 第3番 BWV1006より
15. アントン・アレンスキー(1861-1906):セレナード
16. ドリゴ:セレナード Op. 30 No. 2(アウアー編)
17. ジュール・マスネ(1842-1912):瞑想曲-歌劇《タイス》より (マルシック編)
18. ドヴォルザーク:ヴァイオリン・ソナチネ ト長調 Op. 100-第2楽章(クライスラー編)
19. クライスラー:中国の太鼓 Op. 3
20. ヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835-1880):グノーの《ファウスト》-庭園の情景
21. ピエトロ・マスカーニ(1863-1945):間奏曲-歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より
22. フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847):ヴァイオリン協奏曲 ホ短調-第2楽章
23. ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893):
メロディ 変ホ長調 Op. 42 No. 3 (アウアー編)
24. ヨハン・スヴェンセン(1840-1911):ロマンス ト長調 Op. 26

[CD2]
1. サラサーテ:カルメン幻想曲
2. ベートーヴェン:メヌエット ト長調(ブルマイスター編)(2nd recording)
3. シューベルト:楽興の時 第3番(2nd recording)
4. ムーア:アイルランド民謡集-夏の名残りのぱら(2nd recording)
5. ドリゴ:火花のワルツ(アウアー編)(2nd recording)
6. ショパン:夜想曲 変ホ長調 Op. 9 No. 2(サラサーテ編)(2nd recording)
7-9. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op. 64
10. エドヴァルド・グリーグ(1843-1907):ヴァイオリン・ソナタ第2番 ト長調 Op. 13-第1楽章
11. J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV 1003-III. Andante
12-16. J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004

【演奏】
キャスリーン・パーロウ(ヴァイオリン)
CD1:1-5…ピアノ伴奏
CD1:6-13、20-22、CD2 2-4…オーケストラ伴奏
CD1:15-19、23-24…チャールズ・アダムズ・プリンス(ピアノ)
CD2:1、5、6…チャールズ・アダムズ・プリンス(ピアノ)
CD2:10…アーネスト・マクミラン(ピアノ)
CD2:2-4…オーケストラ伴奏
CD2:7-9…ジェフリー・ウォディントン(指揮)、CBC交響楽団

【録音】
[CD1]
1-5…1909年
6-13…1912年
14-15…1914年
16-24…1916年
[CD2]
1-6…1916年
7-9…1941年5月13日 放送
10…1941年11月13日 放送
11-16…1957年1月15日 放送

各曲の初出時のレコード番号とマトリックス番号はブックレットに記載されています。

復刻プロデューサー:Eric Wen
復刻エンジニア:Raymond Glaspole and David Hermann
マスタリング:Rick Torres

総収録時間:140分(81分/79分)

キャスリーン・パーロウ

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2023年08月25日 16:42