Naxos~2025年2月発売新譜情報(7タイトル)
CD(7タイトル)
■作品詳細
今回は現在ニューヨークを拠点に活動するウクライナ出身のアレクセイ・ショールのシリーズ「作曲家のノート」第2集に、クリストフ・ポッペンとケルン室内管のモーツァルト:ミサ曲全集第4集、ギルトブルグ得意のラフマニノフ、ソナタ2曲に加え「死の島」ピアノ版、ダロン・ハーゲンが世界人権宣言(UDHR)採択75周年を記念して作曲した壮大なカンタータなど、世界初録音を含むCD7タイトルがリリースされます。
アレクセイ・ショール:作曲家のノート 第2集 - 「私の本棚から」、フルート協奏曲第1番 他
マッシミリアーノ・カルディ(指揮)ドミトリ・ヤブロンスキー(指揮)キーウ・ヴィルトゥオージ、ベフゾド・アブドゥライモフ(ピアノ)、ジャスミン・チェイ(フルート)
【ウクライナ出身のショール作品第2集にアブドゥライモフ登場】
現在ニューヨークを拠点に活動するウクライナ出身のアレクセイ・ショール。彼の作品は、国際的に活躍する音楽家たちによって、多くの演奏や録音が行われています。
このアルバムにはショールの3作品を収録。幼い頃、彼の寝室の本棚にあった児童文学の名作にインスパイアされたという「私の本棚から」は、文学と音楽の融合をテーマに、各々の登場人物を音で表現。作品全体を本棚のように仕上げています。登場するキャラクターには、シンデレラやドン・キホーテ、トム・ソーヤーなどのおなじみの人物たちをはじめ、『ノートルダム・ド・パリ』のクァジモド、そしてヤヌシュ・コルチャックの「マチウシ1世」などが含まれ、曲の終わりではシェイクスピアの「ロメオとジュリエット」をロマンティックに描いています。「別れの夜想曲」は、「私の本棚から」のアンコールの役割を担う短く親しみやすい作品。グリンカ作品に着想を得ながらも、ショールは新たな方向性を模索し、豊かな和声と装飾を与えることで、より深い作品を作り上げました。この2作品でピアノを担当するのがウズベキスタン出身のアブドゥライモフ。作品の個性を引き出す見事な演奏を聴かせます。
3曲目のフルート協奏曲は、ショール自身の「クラリネット協奏曲」を編曲したもので、快活でエネルギッシュな第1楽章、抒情的な第2楽章、明るい結末を迎えるロンド形式の第3楽章で構成されており、この演奏でのソリスト、ジャスミン・チェイの技量も存分に楽しめます。
(ナクソス・ジャパン)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:ミサ曲全集第4集 - ミサ・ブレヴィス K.140&K.192、ミサ曲「ドミニクス」K.66
クリストフ・ポッペン(指揮)ケルン室内管弦楽団、ケルン大聖堂声楽アンサンブル
クリストフ・ポッペンが指揮するケルン室内管弦楽団によるNAXOSのモーツァルトのミサ曲全集シリーズ。この第4集では、合唱団がこれまでのケルン西ドイツ放送合唱団から1996年に設立されたケルン大聖堂声楽アンサンブルに替わりました。アルバムにはモーツァルトが10代で作曲した3曲を収録。1773年に作曲されたと推定されるK.140は一度は偽作とされたものの、最新の研究では真作とされており、6/8拍子で書かれたグローリアによって、パストラル(田園風)・ミサの別名を持つことで知られています。K. 66は1769年の作品。モーツァルトの幼馴染が新任司祭に任命された際に演奏された荘厳ミサで、大規模なオーケストレーションと劇的な進行が特徴。オペラ的な要素も随所に見られ、和声や対位法の深みも際立ちます。1774年のK.192は、ヨーゼフ・ハイドンやミヒャエル・ハイドンの影響が垣間見えるとともに巧みな対位法も際立っています。簡潔な書法ながらも豊かな表現が特徴です。
(ナクソス・ジャパン)
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番、第2番、交響詩「死の島」(ピアノ編)
ボリス・ギルトブルグ(ピアノ)
【ギルトブルグ得意のラフマニノフ、ソナタ2曲に加え「死の島」ピアノ版にも注目!】
ギルトブルグが弾くラフマニノフはこれまでにも高く評価されており、ピアノ協奏曲第1番と第4番のアルバム(8.574528)は、BBCミュージックマガジンで「個性的で繊細、技術的に素晴らしい」と評されました。このアルバムに収録されているピアノ・ソナタ第1番は、知名度と演奏頻度こそ第2番に譲るものの、シンフォニックなスケールと素晴らしいドラマ性を持つ優れた作品です。傑作として名高く、演奏機会の多い第2番では改訂版を使用。引き締まった造形、豊かな感情表現、ダイナミックなピアニズムが聴かれます。交響詩『死の島』は、マックス・クリンガーの「死の島(ベックリンの絵画による)」にインスパイアされた陰鬱な管弦楽曲。不規則な5/8拍子と「怒りの日」(Dies Irae)のモチーフが用いられ、不安にうねる波と舟の漕ぎ手の動きが描写されています。この録音では、ゲオルギー・キルコールが1957年に行ったピアノ編曲版をもとに、ギルトブルグ自身が大幅に改訂した版を使用。彼は、オリジナルの管弦楽版の複雑な構造をピアノで忠実に再現しようと試み、演奏しやすさを犠牲にしながらも原作の忠実な再現を目指しました。ブックレットにはギルトブルグ自身による作品の詳細な解説(英語)が記載されています。
(ナクソス・ジャパン)
世界初録音
ダロン・ハーゲン(1961-):Everyone, Everywhere 誰でも、どこでも
ニューヨーク・セシリア合唱団&管弦楽団、マーク・シャピロ 他
2023年12月16日、ニューヨークのカーネギーホールで初演されたダロン・ハーゲンの「Everyone, Everywhere 誰でも、どこでも」は、ニューヨーク・セシリア合唱団の委嘱により、世界人権宣言(UDHR)採択75周年を記念して作曲された壮大なカンタータです。この作品は5楽章構成で、合唱団、児童合唱団、2人のソリスト、オーケストラによる演奏を通じて、UDHRの条項や人権擁護者たちの言葉を音楽的に表現します。音楽はドラマティックかつ説得力があり、ベートーヴェンやブリテンの作品を思わせる規模と深みを持ちながら、現代的で緊迫感のある表現を追求するもので、第1楽章は明るいファンファーレで始まり、第2楽章では痛ましくも美しい音楽が展開します。第3楽章は子供たちが歌うラプソディを中心に据え、第4楽章では「私は人間です」という静かな主張が響き渡ります。最終楽章では、高揚感に満ちた喜びの音楽が繰り広げられ、最後は穏やかに終結します。ニューヨーク周辺に在住する奏者たちがこの日のために結集したオーケストラの力強い演奏も聴きどころです。
アルバムには、ウィリアム・バトラー・イェイツが描く第一次大戦で戦死したグレゴリー少佐のエピソードに基づく曲と、エイブラハム・リンカーンが南北戦争で息子を失った未亡人に宛てた手紙を題材にした曲が添えられており、戦争の人的犠牲がしめやかに歌われます。
(ナクソス・ジャパン)
フランチェスコ・チレア(1866-1950):歌劇《グロリア》
フランチェスコ・チッルッフォ(指揮)カリアリ歌劇場管弦楽団
チレアは代表作《アドリアーナ・ルクヴルール》(1902年)に続き、オペラ《グロリア》を作曲しましたが、1908年のミラノ初演(トスカニーニ指揮)は失敗に終わり、作曲活動を断念しました。その後、教育者として活動する中で出版社の要請に応じて改訂し、1932年にナポリで再演され好評を得ましたが、イタリアの情勢もあり、レパートリーとして定着するには至りませんでした。本作は、埋もれた歌劇作品の蘇演を旺盛に展開するサルデーニャのカリアリ歌劇場の新制作。表題役を歌うのは2021年東京・春・音楽祭のリッカルド・ムーティ指揮《マクベス》のマクベス夫人役で日本デビューを果たした新星アナスタジア・バルトリ。ドラマティックでありながら、優れた歌唱技術に裏づけられた清冽な表現が光る知性派ソプラノです。リオネット役は、伸びやかで輝かしい歌声を持つ日本でもお馴染みのカルロ・ヴェントレ。さらに世界の檜舞台で活躍するヴェルディ・バリトンのフランコ・ヴァッサッロが、暗い情念を歌う敵役として見事な歌唱を聴かせます。近現代の作品を中心レパートリーとするフランチェスコ・チッルッフォが導くカリアリ歌劇場のオーケストラが、優れた歌唱陣と共に作曲家最後の歌劇に新たな光をもたらしています。
(ナクソス・ジャパン)
パリのパリジャン - 21世紀パリのギター作品集
ガブリエル・ビアンコ(ギター)
世界50か国以上で演奏、高く評価される1988年生まれのギタリスト、ガブリエル・ビアンコ。このアルバムは彼の故郷のパリで活躍する作曲家たちの新作が収録されています。印象派の絵画からインスパイアされたペパンの「秋のリズム」、一日の24時間になぞらえた24の変奏が楽しいベッファの「時の鏡」、ビアンコの多彩な要望を採り入れたというトーマス・ヴィロトーの「バスティーユの夜」、ギリシャ神話に登場するアラクネを描いたカランパリキスの「アラ」、ギター四重奏との迫力ある応酬が魅力的なステファネッリの「エリプシス」など興味深い作品が並んでいます。
(ナクソス・ジャパン)
NAXOS Idil Biret Archive
イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション 第24集 - J. S. バッハ:ピアノ協奏曲集
イディル・ビレット(ピアノ) 他
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、イディル・ビレットは幼少期からバッハの音楽に触れており、とりわけ、4歳の時に78回転レコードで聴いたエトヴィン・フィッシャーが弾く「平均律クラヴィーア曲集第2巻」のヘ短調を聴いて深い感銘を受けたと言います。その後はバッハの鍵盤のための協奏曲や室内楽作品を多く演奏し、特にニ短調協奏曲は彼女のコンサートにおける定番曲となりました。彼女はバッハの作品を「時代を超えた存在」として捉え、回顧録やインタビューでは「バッハが音楽の核心にあり、彼への信頼は変わらない」と語っています。2002年、トルコの指揮者エロル・エルディンチの提案により、イディル・ビレット、アイシェギュル・サルツァ、ハンデ・ダルキリチがバッハの鍵盤のための協奏曲を演奏するプロジェクトが実現。なかでもハンデはイディルのコンサートで譜めくりを務め、アイシェギュルからピアノを学んだ経験を持ち、この共演を大変光栄に感じていました。リハーサルでは、イディルの提案による「ノン・レガート」での演奏など、特別な経験を得たことを述べています。
アイシェギュル・サルツァはイスタンブール音楽院とパリ音楽院で学んだトルコを代表するピアニストで、作曲家ジェマル・レシット・レイの作品の録音でも知られています。ハンデ・ダルキリチはビルケント音楽大学で博士号を取得し、現在ハジェテペ大学で教鞭を執るとともに、トルコの作曲家の作品を積極的に演奏しています。エロル・エルディンチはトルコとフランスで音楽を学び、1983 年から 2000 年までイスタンブール国立交響楽団の首席指揮者を務める他、ビルケント大学の音楽学部長を務めました。ギュレル・アイカルはロンドンのギルドホール音楽院やイタリアのサンタ・チェチーリア音楽院で指揮を学び、トルコに戻ってからは数多くのオーケストラを指揮、1981年にトルコの「国家芸術家」の称号を受けました。
(ナクソス・ジャパン)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2025年01月30日 15:30