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インタビュー

福原美穂 『The Soul Extream EP Ⅱ』



リズム&ブルースの女王・和田アキ子との〈レディー・ソウル対決〉を魅せるシリーズ第2弾に大注目!

 

 

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ユーリズミックス時代のアニー・レノックスが、大御所のアレサ・フランクリンとデュエットした“Sisters Are Doin' It For Themselves”という曲を知っているだろうか。85年、ユーリズミックスのヒット曲のひとつだが、そこでアニーとアレサは凛々しく〈女性たちよ、立ち上がりなさい〉と力強くシャウトした。それは、男性社会で生きる全女性に向けられたメッセージだったと言って良いだろう。

あれから約四半世紀、日本でもその時さながらの〈レディー・ソウル対決〉が実現した。福原美穂の〈The Soul Extreme EP〉シリーズ第2弾『The Soul Extreme EP II」の冒頭“Get Up!”は、なんと和田アキ子との共演である。

「迷うことなく〈アッコさんしかいない!〉って。アッコさんの歌は『free soul』という作品を聴いて、〈70年代にもうこんな歌を歌っていたんだ!〉と衝撃を受けたんです。だから、もう勝手にアッコさんのイメージで曲を作ってお願いしました(笑)」。

彼女の言う『free soul wada akiko』とは小西康陽が選曲したコンピ。スケールの大きな彼女の、和製ソウル・シンガーとしての魅力にフォーカスした一枚だ。このアルバムで和田の歌にノックアウトされた福原は、以来共演を夢見てきたのだという。かくして38歳離れた、言わば〈師弟共演〉が実現することとなる。

「アッコさんが歌いはじめた頃は、まだ女性が力強く歌うことが珍しい時代だったと思うんです。そんななかでアッコさんは地に足をつけて時代と戦ってこられた。今回いっしょに歌わせていただいて、その精神力の強さにも驚かされました。しかも倍音の出し方や持って生まれた声の質も本当にすごくて。7いまこそこのアッコさんの歌の力と言葉が欲しい!って気持ちでお願いしたんですけど、いっしょにやれてホントに感激でした。〈スティーヴィー・ワンダーっぽくていいね〉とか〈ガラゲラッ!ってとこは私っぽいわ〉とか、曲も気に入ってもらえましたし。ただ〈ハッ!〉は入れすぎだって怒られましたけど(笑)」。

新しい時代を作ろう、火種を消すな、叫べ、笑え!と2人が交互に歌ったり声を揃えたりするその曲は、震災以降の生活に怯え、疲弊する日本人を激励し、ひとつになることを呼びかけたような、ダイナミックなソウル・チューン。〈アッコにおまかせ〉なんて一節も飛び出す歌詞も含めて福原自身によるものだ(曲はパム・シャイン、ジャスティン・グレイとの共作)。和田にとっては、同性とのデュエットはこれが初めてなのだという。

「アッコさんは若いアーティストの曲もすごくたくさん聴いてらっしゃるんです。自分が歌でやってきたことをいま私たちが受け継いでいることを喜んでくださる一方で、〈悔しい〉って仰ったりして。そういう姿勢にも刺激を受けましたね。私自身、この夏ひとりでLAに1か月ほど滞在して、改めて歌を勉強したりしていたんですけど、ソウルという言葉に縛られずもっと広く伝わっていくような歌を歌っていきたいなって気持ちを新たにしました」。

今回のEPにはマルーン5の“Sunday Morning”とKUWATA BANDの“One Day”も収録。特に、タイプは違えど同じようにブラック・ミュージックを愛する桑田佳祐のソングライティングには感化されてきたと告白する。

「この曲、原曲がゴスペルっぽいので自分に落とし込めるかなってチャレンジしてみたんです。歌ってみると桑田さんのメロディーは本当にキレイなんですよ。歌詞にも絶対私からは出てこないような言葉がたくさんあって――まだまだ学ぶことは多いです」。



▼関連盤を紹介。

左から、和田アキ子の編集盤『free soul wada akiko』(テイチク)、マルーン5の2002年作『Songs About Jane』(Octone)、KUWATA BANDの86年のシングル“ONE DAY”(TAISHITA)、福原美穂の2011年のミニ・アルバム『The Soul Extreme EP』(ソニー)

掲載: 2011年11月30日 13:35

更新: 2011年11月30日 13:35

ソース: bounce 337号(2011年10月25日発行号)

インタヴュー・文/岡村詩野