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インタビュー

lynch. 『INFERIORITY COMPLEX』

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バンドとしては通算6作目、メジャー第2弾となるニューアルバム『INFERIORITY COMPLEX』を6/27に発表するlynch.。スピード感、刺激度、美しさ。どれをとっても、これまでの作品を大きく凌ぐショッキングな今作は、
間違いなく過去最高を誇る。ヴォーカリストであり、ソングライターの葉月に、このアルバムの真相を訊いた。

  

「進化し続けているのはわかってる。それでも何かに押し潰されそうな自分と、
    立ち向かおうとする自分とが交錯する感覚に陥ることが増えてきた」(葉月)

今思い出しても、身震いがするほど鮮烈なデビューだった。
重厚なギターリフ、複雑に展開するリズム、シャウトとメロディが交差する
ヴォーカル……それをラウドロックやミクスチャーという言葉ひとつで
括ってしまうのはあまりにも稚拙。そこには胸をえぐられるような耽美な旋律と、
すさまじいエネルギーを携えていたからだ。
アルバム『I BELIEVE IN ME』で、昨年6月にメジャー・シーンに君臨したlynch.。
非常に破壊的で極めて儚い彼らの音楽を広く世間に知らしめることとなった。


「lynch.結成時に、まず葉月の曲でバンドをやりたいと思ったんですよ。
彼は、衝動的にカッコいいと思える曲を作るのが得意な人。
一瞬で人を引き寄せる力があるんです。
楽器隊はその衝撃をそのまま伝えるために、激しくてスタイリッシュな音楽に仕上げるだけ」


当時、リーダーの玲央が語っていた、この確固たる信念の高みに到達したのが『INFERIORITY COMPLEX』。
メジャー・アルバム2作目にしてlynch.史上最速、最もメロディック、
最高にハードな作品を産み落としてしまった。


葉月(Vo.)「もう少し静かな曲を足した方がよかったかな(笑)。
前作『I BELIVE IN ME』は、かなり幅広い音楽性を持っていたんですけど、
今回はその幅を縮めるというか、激しさ、速さにグッとクローズアップしてみたいっていうのがあって。
アルバムが完成したときに、それが予想以上に出ていたので、かなり達成感がありますね」


スピードと激しさが突出したモンスター・アルバム。確かに緩急、明暗の振り幅は狭まってはいるが、
その<急>と<暗>に真っ向から立ち向かい、突き詰めている感がある。
限界を破るべく、持てる力のすべてを注ぎ込もうとしたのかもしれない。
たとえば、初っぱなからBPM250は軽く超えるであろう超高速の“MOMENT”からアルバムはスタート。
ヒステリックなサウンドと共にシャウト一辺倒で爆走する“ANIMA”、聴きながら歌詞を追うのは
完全不可能な“INFERIORITY COMPLEX”など。ソングライターの葉月は、いったい何を吐き出そうとしているのか。


「どの曲も<INFERIORITY=劣等感>というところにつながっている気がします。
最近、何かに押しつぶされそうな自分と、それに立ち向かっていこうとする自分とが
交錯する感覚に陥ることが増えてきたんですよ。
たとえば録音した歌を聞いて<うわ、なんでもっと上手く歌えないんだろう>とか、
ライヴ映像や写真に映る自分を見て<なにこれ、カッコ悪っ!>と思ったり。
でも、過去と比べて下手になったのか、カッコ悪くなったのかというとそうではなくて。
確実に進化し続けてはいるのもわかっているんです。だからこそ、なのかもしれないですけど、
ある種の劣等感に襲われるというか。でも、それに押しつぶされるわけにはいかない、
今はやるしかない。そういう感情がアルバムを支配していると思います」





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 その強い意志がメロディの強度にも投影されている。“INFERIORITY COMPLEX”のサビをはじめ、
どんなにラウドでスピーディーな曲であろうと、葉月が心の底からくり出す歌メロは恐ろしく流麗。
“MIRRORS-we're not alone-”“FROZEN”、“A FLARE”などは特に、涙を誘うほど至上の美しさと切なさを
たたえている。それを彩るギターリフもまた素晴らしい。



「儚さと激しさは両極端なものかもしれないけど、実はすごく近い存在なんじゃないかと思うんですよ。
だからこそ(曲の中での)並べ方次第でごく自然に聞こえると思うし、逆にシャウトが切なく聞こえることも
あるんです」

これこそがlynch.が持つ美学だ。
『INFERIORITY COMPLEX』を掲げ、7月から全国ツアーがスタートする。
今年3月に初のZEPP TOKYOワンマン・ライヴをあっさり成功させてしまった彼らだが、
今回は小規模のライヴハウスでのサーキットとなる。心の闇を打ち砕こうとする、激情と衝動が破裂せんばかりの
衝撃的なライヴになるのは必至。


「ヘタしたら、このアルバムでさえ僕らにとってはすでに過去。そのぐらいのスピードで今のlynch.は
進化しています。それを確かめに来てほしいですね。酸欠になるのが心配ですけど(笑)」





■New Album……『INFERIORITY COMPLEX』6/27 on sale!

■SONG LIST

01.MOMENT

02.THE FATAL HOUR HAS COME

03.MIRRORS -we're not alone-

04.NEW PSYCHO PARALYZE

05.ANIMA

06.THEY'RE ALL AFRAID

07.EXPERIENCE

08.FROZEN (テレビ東京系全国ネット「JAPAN COUNTDOWN」6月度エンディングテーマ)

09.INFERIORITY COMPLEX (全国音楽情報TV「MUSIC B.B.」6月度エンディングテーマ)

10.A FLARE(オンラインゲーム「SEVENCORE」テーマソング)



■LIVE…… 「THE FATAL EXPERIENCE」

7/6(金)、7(土)札幌BESSIE HALL

7/9(月)旭川 CASINO DRIVE 

7/11(水)函館 club COCOA

7/13(金)青森 Quarter

7/15(日)山形 ミュージック昭和 Session

7/16(月・祝)郡山 Hip Shot Japan

7/18(水)HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2

7/21(土)SUNPHONIX HALL in YOKOHAMA ARENA

7/22(日)柏PALOOZA

7/24(火)新宿 LOFT

7/26(木)新潟 CLUB RIVERST

7/27(金)長野 CLUB JUNK BOX

7/29(日)金沢 AZ

8/4(土)静岡 Sunash

8/5(日)豊橋 club KNOT

8/24(金)京都 MUSE

8/25(土)奈良 NEVER LAND

9/8(土)姫路 Live House Beta

9/9(日)山口 LIVE rise SHUNAN

9/11(火)小倉 LIVE SPOT WOW

9/13(木)長崎 DRUM Be-7

9/15(土)熊本DRUM Be-9

9/16(日)鹿児島 SR HALL

9/18(火)松江 AZTiC canova

9/19(水)広島 ナミキジャンクション

9/21(金)松山 サロンキティ

9/23(日)高知 X-pt.

※詳しくはHPにて。



■ PROFILE…lynch.(リンチ)

葉月(Vo.)、玲央(Gt.)、晁直(Dr.)、悠介(Gt.)、明徳(Ba.)の5人からなるロックバンド。
05年に1stアルバム『greedy dead souls』をリリースし、話題を集める。
精力的なライヴ活動で確実にファンを獲得し、2011年6月に『I BELIEVE IN ME』でメジャーデビュー。

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記事内容:TOWER 2012/6/5号より掲載

掲載: 2012年06月05日 12:00

ソース: 2012/6/5

TEXT:恒川めぐみ