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インタビュー

泉 沙世子 “境界線”



泉 沙世子



[ interview ]

昨年11月にシングル“スクランブル”でデビューを果たした、泉 沙世子。遡ること同年5月に行われた、キングレコード主催〈ドリームボーカルオーディション〉のファイナル・ステージで見事グランプリを獲た、現在24歳のシンガー・ソングライターだ。18歳で上京後、コツコツと磨きをかけてきた〈うたうたい〉としてのポテンシャルはまだまだ未成熟だが、それゆえに、スモーキーな質感をやんわりと湛えた歌声から放たれる歌には、温かさや親しみやすさ、ピュアネスがナチュラルに滲み、〈また聴きたい〉と思わせる魔法をかけてくれる。そんな彼女が、このたびセカンド・シングル“境界線”を届けてくれた……。



目立ちたいけど照れ屋なので



――初めましてということで、まずは遡った話から伺おうかと思うんですが、そもそも音楽に興味を持ちはじめたのはいつ頃でした?

「いちばん最初は……6歳のときに歌手になりたいなって。SPEEDさんをTVで観て、〈かっこいいなあ〉っていう憧れと同時に、〈悔しいなあ〉っていう気持ちが芽生えたんです」

――悔しい?

「はい。私は田舎で暮らしている普通の小学生なのに、同年代の女の子がすごく活躍をしていたので、悔しいというか、羨ましいなあって。それで、私も人前に出て歌いたいなあって思うようになったんです。最初のうちは音楽っていうがっちりとした目標を抱いていたというよりも、人前に出たいとか、歌が好きっていう気持ちだけでしたけど」

――子供の頃は目立ちたがり屋だったんですか?

「目立ちたいっていう気持ちはあったんですけど、すごく照れ屋なので、グイグイは行けないというか、出て行きたいけどどうしようっかなあ?っていう、いつも足踏みしてるような性格でしたね」

――では、人前に出るために最初にやったことは?

「小学校4年生のときに習い事で和太鼓を始めて。それから中学校では吹奏楽部に入りました」

――歌ではないんですね。

「でも、とにかく歌は好きだったので、吹奏楽部のときには顧問の先生に〈ブラスバンドをバックに歌って踊ってっていう、そういうのがあったほうが楽しめると思うんですよ〉って、ピンク・レディーさんの曲とかを提案したりしました(笑)」

――えっ、なぜピンク・レディー?

「なんでなんですかね(笑)? なんでだろ……たぶん、TVで〈○○年代のヒット・ソング〉とかっていうのを観て知ってたと思うんですよね」

――なるほど(笑)。

「そのあと、高校生になってから、オーディションを受けはじめたりしたんですけど。○○コンテストとかカラオケ大会とか、歌に繋がるものなら片っ端から」

――で、高校を卒業して、すぐに上京を?

「そうですね」

――それは夢が叶いやすい場所にっていうことで?

「そうです。デビューするのが明日であってもずっと先であっても、歌いたいっていう気持ちは固くあったので、いずれは上京するだろうっていうふんわりとした気持ちでいたんですけど、両親から〈生活の基盤もなくてただ行っただけだとぐちゃぐちゃになるから、一応、大学に入ってくれへん?〉っていうふうに言われて(笑)」

――うんうん。でもまあ、やはり上京の目的は歌うためという。

「そうです。9割9分そうでしたね(笑)」

――上京後はどういう活動を?

「上京してからはしばらくオーディションも受けてなくって。というのも、それまでに何十個も落ちてきたので、なにか武器を身に付けなきゃいけないんだろうなっていうことで、ライヴをやったり、作詞作曲もその頃から始めるようになって。ライヴは路上でもやりましたね。上京してから知り合った友達にはホント助けてもらって、それこそライヴのチラシ配りだったりとか、路上でやるときに〈サクラやるよ〉とか(笑)。でも、上京して最初のうちはほとんどライヴもできなかったですね。どうやって歌えばいいんだろう?とか、曲の作り方もよくわからなかったので、ちゃんとオリジナルが作れるようになってライヴをするようになったのは、上京してから2、3年経ってからですかね」

――ではもう、最初の頃は自宅でコツコツと自主練習を。

「そうですね。でも、それもひとりではできなかったと思うんです。知識のある人に〈これどうやって作ったらいいんですかね?〉〈そういうコードが合います?〉とか訊いたり、いろんなことを教えてくれた友達や知人の方がいたので、それでなんとか」

――曲はどんな感じで作るんですか?

「しばらくピアノのコード弾きを習いに行ってたんですね。ピアノはそれまでにも習ったことはあったんですけど、そんなに弾けない状態でしたから。コード弾きのレッスンを受けたことで、弾き語りの形までは作れるようになったんです」


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掲載: 2013年01月30日 18:01

更新: 2013年01月30日 18:01

インタヴュー・文/久保田泰平