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インタビュー

豊崎愛生『Love letters』

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さまざまな形の〈愛=Love〉が表現された待望の2ndアルバム



声優として、ユニット〈スフィア〉のメンバーとして、その柔らかでふんわりとした声の魅力を演技や歌を通してチャーミングに振りまいている豊崎愛生。ソロ歌手としての2ndアルバム『Love letters』は、前作『love your life, love my life』と同様に自身の名前〈愛=Love〉をタイトルに冠した、さまざまな形の〈Love〉が表現された作品だ。

「収録曲の歌詞には〈愛〉という言葉が結構入っていたり、あと〈届ける〉〈伝える〉っていうお手紙みたいなイメージで作った楽曲がたくさんあって。人に優しく響く歌を歌いたいと思っているので、愛がいっぱい届きますようにっていう意味を込めました」

なかでも強く感じられるのは、音楽に対する溢れんばかりの愛情。普段はパブ・ロックからモータウンまで、ジャンルを問わずあらゆる音楽を愛聴しているという彼女の趣味を反映するように、このラブレターにしたためられたサウンドの幅は、オーガニックなテイストで統一された前作から比べてグッと広がりを見せている。例えば、クラムボンのミトが作曲、つじあやのが作詞を担当した“music”は、その2人に加えてコトリンゴと伊藤大助が演奏で参加しており、インストだけでもしっかりと聴かせる凝ったアレンジが魅力のポップ・チューンだ。そして羊毛とおはなを迎えた滋味深いバラード“シロツメクサ”、初期英国ロックバンドをイメージさせるかのようなオールド・ロック調の“オリオンとスパンコール”、sasakure.UKによるメルヘンな打ち込みポップ“フリップ フロップ”、美しくも切ないメロディーに胸を締め付けられる安藤裕子が提供したミディアム・ナンバー“CHEEKY”と、シングル曲だけでも随分とバラエティ豊かだ。

「“オリオンとスパンコール”辺りから自分のなかでソロの歌っていうものに対しての革命をちょっとずつ起こしていこうと思っていて。もう少し自分が普段聴いている音楽のほうに寄せてアイデアを出してみようかなあって。自分のルーツ的なものを考えてみたときに、60年代、70年代の音楽を聴いていることが多かったんですよ。もともとドクター・フィールグッドが大好きで、そこからソニックスが好きになったり、普段は初期の頃のトム・ウェイツさんのアルバムを聴いていたり。お父さん世代というか、泥っぽい感じというか(笑)。好きな要素をいっぱい混ぜて作ったのがこの曲です」

そういった彼女の音楽的嗜好や楽曲作りに対するアグレッシヴな姿勢は、まさに今回のアルバムの肝でもある。

「たぶん結構渋いのが好きなので(笑)。渋さはかなりあるかなあと。私のふわっとした声が入っているので、印象的には柔らかかったり優しかったりってイメージだと思うんですけど。毎回シングルで出すものは、そんなイメージをいい意味で裏切って、常にチャレンジしているっていうか。それは音楽チームといっしょにずっと決めていることなので。“フリップ フロップ”も自分のソロのシングルのなかではだいぶチャレンジでもあったし、結局エレキをギュンギュン入れてもらってアッパーな感じにしようというのはずっと決めていたんで」

さらにアルバムには、著名なアーティストによる書き下ろしの新録曲が5曲も収録。それぞれ豊崎への楽曲提供は2回目となるChara、Rie fuに加え、今回が初の顔合わせとなるハナレグミの永積タカシ、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也、たむらぱんが彼女のラブレターに華を添えた。そのうち田淵が書いた“letter writer”は、カントリー調のサウンドが聴く者の心を穏やかに包み込む、歌で大切な想いを届ける彼女の意思表明のようなナンバーだ。

「田淵さん自身が、声優さんやアニメをとても応援していただいている方で、ありがたいことに〈いつかいっしょに何か作れたらいいね〉って言ってくださっていて。そんなご縁があって、楽曲を提供していただきました。そしたら今回の楽曲がすごくアルバムのリード・トラックにピッタリというか(笑)。アルバムのなかで伝えたいことをすごくシンプルに歌えるような歌だったので、それでリード曲になりました」

そして彼女が学生時代からの大ファンだったというハナレグミの永積タカシは“true blue”を作曲(作詞はクラムボンの原田郁子)。子守唄のように優しく、祈りのように尊い歌声が耳に静かに沁みこむ、深いバラード曲になっている。

「みんなでワーッて歌えるようなハナレグミさんの曲も大好きなんですけど、“家族の風景”とか“さよならCOLOR”みたいなアコギ主体のしっとりとした歌が特に好きですってスタッフの方にお話させていただいて。その想いが届いて、とても素敵な曲に仕上げていただきました。歌うときもドキドキしたんですけど、切ない歌になりました」

そんなさまざまな〈Love〉が詰まったアルバムを携え、10月20日(日)の東京国際フォーラム公演を皮切りにセカンド・コンサート・ツアーがスタート。誕生日前日の10月27日(日)には神奈川県立県民ホール、11月10日(日)にグランキューブ大阪、12月15日(日)に名古屋センチュリーホール、最終日の12月28日(土)は地元の徳島市立文化センターでのライブが決まっている。

「約2年半前に開催させていただいたファースト・コンサート・ツアーのときよりも豊崎愛生ワールドっていうものをもっともっと濃く展開できたらいいなあって。それと私の歌は、自分の身近な人だったり、(ヘッドフォンを耳にあてるジェスチャーをして)こうやってひとりでヘッドフォンで聴いてくださってるココの空間っていうか(笑)、そのひとりの人の耳に届けばいいなあってイメージでレコーディングしているので。大きな場所なんですけど、みんなが一対一で歌ってくれてるって思えるようなライブにできたらいいなあと。物理的に一番最後尾で遠くても、心の距離感がとっても近いって思ってもらえるような歌が歌えたらなあって思ってるので、ひとりひとりに愛を伝えるようなイメージでツアーしたいと思います」

■ALBUM…『Love letters』……9/25 on sale!!

■Song list
01. See You Tomorrow
[作詞・作曲・編曲:Rie fu]
02. music
[作詞:つじあやの / 作曲:ミト / 編曲:よだれ虫オールスターズのみなさん]
03. CHEEKY -clover mix-
[作詞・作曲:安藤裕子 / 編曲:山本隆二]
04. さすらいの迷える仔猫
[作詞・作曲・編曲:whoo]
05. ただいま、おかえり
[作詞:古屋真 / 作曲:藤谷一郎 / 編曲:渡辺剛]
06. パタパ
[作詞・作曲・編曲:田村歩美]
07. LiLi A LiLi
[作詞・作曲・編曲:Chara]
08. シロツメクサ
[作詞:千葉はな / 作曲:市川和則 / 編曲:塚本亮]
09. フリップ フロップ
[作詞・作曲・編曲:sasakure.UK]
10. リンゴのせい
[作詞:工藤順子 / 作・編曲:小西昭次郎]
11. オリオンとスパンコール
[作詞:古屋真 / 作曲:大沢圭一 / 編曲:関淳二郎、大沢圭一]
12. true blue
[作詞:原田郁子 / 作曲:永積崇 / 編曲:ミト]
13. letter writer
[作詞・作曲:田淵智也 / 編曲:関淳二郎]

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掲載内容:2013/9/10号掲載

掲載: 2013年09月09日 18:00

ソース: 2013/9/10

TEXT:北野創