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インタビュー

livetune adding Yuuki Ozaki(Galileo Galilei) “FLAT”



初音ミクとGalileo Galileiの尾崎雄貴をヴォーカリストに迎えた2作品が到着! ボーカロイドと生身のシンガー、それぞれの特性を活かした歌世界とは?



livetuneがゲームソフト「初音ミク -Project DIVA- F 2nd」のオープニング・テーマを収録したミニ・アルバム『DECORATOR EP』と、TVアニメ「ハマトラ」のオープニング・テーマにして、Galileo Galileiの尾崎雄貴をヴォーカリストに迎えた〈adding〉シリーズの最新シングル“FLAT”の2作品を同時リリースする。それぞれの作品について、livetuneのkzに話を訊いた。

※livetune feat. 初音ミクのインタヴューはこちらから



livetune adding Yuuki Ozaki(Galileo Galilei)



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続いては〈adding〉シリーズとして3枚目のシングル“FLAT”について。ロック・テイストな表題曲を歌うのはGalileo Galileiの尾崎雄貴で、前回のFukase (SEKAI NO OWARI)に引き続き、男性ヴォーカルのナンバーとなった。

「アニメありきの選び方だったんですけど、『ハマトラ』はカッコイイ作品なので、そこは女性ヴォーカルではなくて男性ヴォーカルがいいなと。なんですけど、男性ホルモンは少なめが良くて(笑)。こういう声、好きなんですよね。SEKAI NO OWARIのFukase君とも全然違って、彼は強さみたいなものがあると僕は感じているんですけど、尾崎雄貴君は優しさみたいなものが出ていて、より柔らかいというか。同じ方向性の声でも持ってるものが違うんです。レコーディングの時に初めて会ったんですけど、お互い超緊張して(笑)。前回のFukase君の時は、〈影のプロデューサー〉としてSaoriちゃんがいてくれたので安心だったんですけど、尾崎雄貴君は他のメンバーのサポートなしに向き合わなければならなかったので、探り探りでした。でも彼もクリエイティヴに関して真っ直ぐな人間なので、進めていくうちにフィーリングが合った気がしましたね。僕はいつも細かくディレクションするほうなんですけど、そこまで厳密にやらないで、彼のニュアンスを残したほうが良い作品が出来るかなと思って。やっぱりバンドをやっている人ならではですよね。声優の方なんかは歌詞を読み込んでヴィジョンを作っていくけど、バンドの人は音楽的なところで読み込んでいくというか」。

そして、歌詞には〈希望は諦めになってしまっていた〉や〈君の声を呪ってばかり〉といった具合に、重たい言葉が並んでいるが……。

「『ハマトラ』は、〈特徴がある人とない人の対立〉っていうのが僕のなかでは大きくて。僕らに置き換えてみると、勉強ができるとかモノを作るとかの才能に嫉妬することがあると思うんです。この曲はそこからスタートしているので、ネガティヴに見える要素があると思う。やりたいことと才能が一致してないことってあるじゃないですか。ハウスとかテクノを作りたい人がロックを作ってみると、そっちのほうが良かったりして。そこが一致してない時があるけど、例え求めていたものが違ったとしても、違った才能があるっていう捉え方ができる。そういう目線で見てみると、息苦しいものが解決するんじゃないかっていう。そういう意味で〈フラット〉っていうのがテーマです。言ってることは辛い部分もあるかもしれないですけど、内容的にはポジティヴかなと思うんですよね」。

加えて、この曲の注目ポイントはもうひとつある。大々的にアナウンスはされていないが、これはかなりのサプライズではないだろうか。

「実は僕、歌ってるんですよ。意外と気付かない人がいると思うんですけど(笑)。AメロもBメロも半分歌ってるし、サビではバック・コーラスをやってます。仮歌を自分で歌ってるのもあって、〈歌ってみたら?〉みたいな流れがあったんです。それで、歌うつもりはなかったんですが、チャレンジしてみようと思いました。今回、初めてヴォーカル・ブースに立ちましたもん(笑)。でも、僕もウィスパー系のヴォーカルなので、尾崎雄貴君の声と馴染ませることができたかなって思います」。

本邦初公開となるkzの柔らかい歌声をぜひとも聴いてみてほしい。また、カップリングの“オール・オーヴァー”はモデルのやのあんなを起用したポップ・チューンに仕上がっていて、TVアニメ「ステラ女学院高等科C3部」のテーマ・ソング“Shape My Story”以来となるタッグにニヤリとする人も多いことだろう。ところで、これまでの〈adding〉シリーズはすべての曲で異なるヴォーカリストを起用しているが、これからはどうなっていくのだろうか。

「体力が要ることでもあるんですけど、アルバムを作るまではこのスタイルを通したいなって思います。いろんな人が歌うのはやっぱり新鮮だし、楽しいので。いままで活動してきたシーンの外には友達がほとんどいなかったから、余計楽しいっていうのもありますけど(笑)。ひょっとしたらヴォーカルを固定するのもありかもしれないけど、一枚作るまではいろんな人を呼ぼうと思いますね」。



▼関連盤を紹介。
左から、Galileo Galileiの2013年作『ALARMS』(ソニー)、やのあんなの2013年のシングル“Shape My Story”(ポニーキャニオン)、〈adding〉シリーズが収録されたlivetuneの2012年のシングル“Transfer”(トイズファクトリー)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2014年03月05日 14:32

ソース: bounce 364号(2014年2月25日発行)

インタヴュー・文/南波一海

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