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インタビュー

COLDPLAY 『ゴースト・ストーリーズ』

掲載: 2014年05月10日 00:00

ソース: 2014/5/10

TEXT:粉川しの

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アルバム総セールス5,500万枚強、21世紀最大のロック・バンドへと上り詰めたコールドプレイ、3年ぶり待望の新作『ゴースト・ストーリーズ』がついに完成。光と色が交錯するポップ・アルバムだった前作『マイロ・ザイロト』から一転、彼らが目指した静かなる驚きに満ちた新境地とは?コールドプレイの第三章、ここに始まる!

コールドプレイの新境地を告げる静謐なる傑作、『ゴースト・ストーリーズ』リリース


 前作『マイロ・ザイロト』から3年、コールドプレイ待望の新作『ゴースト・ストーリーズ』は彼らの劇的な新境地を告げる一枚となった。21世紀最大規模のスタジアム・ロック・バンドとしての、メロディアスなバラッド・ポップ・バンドとしての頂点を極めた『美しき生命』、『マイロ・ザイロト』の2部作から一転、ここで描かれているのは静謐にして微細、そしてどこまでも抑揚が効いたミニマルな音世界だ。色と光が過剰に盛り込まれ、エモーショナルで艶やかだった『マイロ・ザイロト』に対し、この『ゴースト・ストーリーズ』はまるで世界を反転させたかのようにモノトーンで、本当に必要な一音一音だけが厳密に美しく配置されている。デビューから15年の節目となる今年、本作にはコールドプレイのリセットの意思を感じるし、ここから彼らの<第三章>が始まるんじゃないかと思う。

 『ゴースト・ストーリーズ』のリリースに至るコールドプレイの動きは突然だったと言っていい。昨年夏に映画「ハンガーゲーム2」用に書き下ろされた新曲“アトラス”の単発リリースがあったものの、その後ニュー・アルバムについての情報が一切更新されないまま、今年2月に入るや本作からの先行シングル“ミッドナイト”がミュージック・ビデオと共に一斉公開されたのだ。しかも“ミッドナイト”はボン・イヴェールを彷彿させる驚きのアヴァン・フォーク・ナンバーで、これまでのコールドプレイのイメージを一新し、ニュー・アルバムへの期待を我然高める戦略的な効果を発揮した。そしてチャン・ツィイーが出演したミュージック・ビデオも話題となった2ndシングル“マジック”を経て、遂にリリースとなったのがこの『ゴースト・ストーリーズ』だ。本作のプロデューサーに抜擢されたのはアデルの『21』やポール・マッカートニーの『NEW』を手掛けた現代UKきっての売れっ子、ポール・エプワース。『美しき生命』以来2作続いたブライアン・イーノとのコラボレーションを終え、こちらも新境地に相応しい人選と言える。ちなみにコールドプレイは現時点でジェネラル&エクスクルーシヴの類を問わず、本作について語るインタヴューを一切行っていない。そんなバンドの姿勢からは『ザ・キング・オブ・リムズ』時のレディオヘッドや『カムダウン・マシン』時のストロークスにも似た意思、「作品から全てを感じて欲しい」とする意思を感じるものだ。



ColdPlay

 
『ゴースト・ストーリーズ』は1曲目“オールウェイズ・イン・マイ・ヘッド ”のさざ波のようにリフレインするシンフォニーで幕を開ける。このアルバムが面白いのは最後の“O”まで一本の線がピンと張り伸ばされているような連続性・反復性を感じさせるところで、1曲、また1曲とナンバーが織重なるたびにじわじわとテンションが高まっていくのを感じる。前半の“トゥルー・ラヴ ”までが穏やかなソフト・バラッドが並ぶ言わば<昼>のセクション。5曲目の“ミッドナイト”を境に、アルバムは徐々にハードで濃く深いメランコリィを孕んだ<夜>へと情景が移り変わっていく。そして徐々に高められていったテンションが一気に爆発するのが“ ア・スカイ・フル・オブ・スターズ ”だ。文字通り<星空>のようにピアノが煌めき弾け、それまで本作の禁欲的な響きが嘘のように奔放に音が四方八方に広がっていくスペクタクル・ナンバーで、むしろここまでの7曲が“ ア・スカイ・フル・オブ・スターズ ”の壮大な助走だったかのようにすら思える。そして、ラスト・ナンバーの“O”のアウトロが1曲目の“オールウェイズ・イン・マイ・ヘッド ”のイントロにフェイドインしていくという構造を以って、最後の最後で実は本作は一本の「線」ではなく循環した「円」というコンセプトを象っていたことが明らかになるのだ。アルバム一枚かけてストイックに積み重ねられていった音がクライマックスで爆発、放射され、そして美しく静かに再び収束していく、この『ゴースト・ストーリーズ』で描かれたのはそんな一遍の物語だ。

最初に本作はコールドプレイの第三章の幕開けを告げる作品と書いたが、第一章がオルタナティヴ・ロックの傑作『静寂の世界』で頂点を極め、第二章がポップ・アルバムとしての完成形『マイロ・ザイロト』で幕を閉じたとしたら、本作から始まる第三章はシーンの趨勢や他バンドとの相対評価とは無関係な、コールドプレイが孤高の、唯一無比の場所を確立する一歩となるかもしれない。

■album……『ゴースト・ストーリーズ』5/21 on sale!

01.オールウェイズ・イン・マイ・ヘッド

02.マジック

03.インク

04.トゥルー・ラヴ

05.ミッドナイト

06.アナザーズ・アームズ

07.オーシャンズ

08.ア・スカイ・フル・オブ・スターズ

09.O

 

※詳しくはオフィシャルサイトをご確認ください。

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記事内容:TOWER+ 2014/5/10号より掲載

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