日向坂46、約2年3ヶ月越しの初の東京ドーム公演開催。5月11日リリースの新曲“僕なんか”も初披露
カメラ:上山陽介
日向坂46が、3月30日、31日の2日間にわたって、東京ドームで「3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~」を開催した。
このライヴは、日向坂46のデビュー3周年を記念したもので、同グループが東京ドームに立つのはこれが初めて。ドームでのライヴは2019年末に発表されたものだが、コロナ禍のためたびたび延期され、発表から実に2年3ヶ月越しの開催となった。また、コロナ禍が発生して以降、東京ドームでフル・キャパシティの公演が行われたのもこれが初めて。2日間で約10万人を動員し、国内ライヴ・シーンの復活を告げる重要な公演ともなった。さらに、デビュー・シングルから4作連続センターを務めるも、昨年2021年6月から体調不良のため休業していた小坂菜緒がこのライヴでファンの前に復帰。7枚目のシングルとなる新曲“僕なんか”をサプライズで披露するなど、充実した内容となった。
冒頭、東京ドームへの思いを語った曲“約束の卵”が流れる中、スクリーンに彼女たちの活動を振り返ったVTRが流される。日向坂46の前身のけやき坂46(ひらがなけやき)が生まれた2016年から、現在に至るまでの6年間の映像に、すすり泣くファンの姿も見られた。そして“Overture”が流れると、東京ドームを模した巨大な卵型のバルーンがステージに出現。そのバルーンが割れるとメンバーが登場し、加藤史帆の「東京ドーム、行くぞー!」という掛け声をきっかけに、日向坂46のデビュー・シングル“キュン”をパフォーマンスした。続けて2ndシングル“ドレミソラシド”を歌唱。グループの代表曲を立て続けに披露し、会場のボルテージを一気にあげた。
この日最初のMCでは、復帰した小坂菜緒が挨拶。「体調のほうはまだ万全と言えなくて、少しずつのスタートにはなるんですけど、これからよろしくお願いします」と語った。また、このライヴ直前にコロナウイルスに感染し、休演を余儀なくされた濱岸ひよりに触れ、キャプテンの佐々木久美が「(濱岸を含む)22人ぶんの魂でステージに立っていますので、ここには22人いますから、みなさんそういう気持ちで楽しんでいただきたいなと思います」と伝えた。さらに、日向坂46の3周年ということは、おひさま(日向坂46ファンの愛称)の3周年でもあるということで、潮紗理菜が「世界で一番おっきなお誕生日会にしたい」と抱負を語った。
ここからは、けやき坂46時代の楽曲も含む、グループの総決算とも言うべき内容になった。まずは、1期生が“おいで夏の境界線”を久々に披露。続いて、ライヴで盛り上がる鉄板曲“キツネ”をパフォーマンスした。東京ドーム仕様の高い火柱があがる中、爆音と共に紙吹雪が打ち上げられるなど、派手な演出で会場を熱狂させた。続く“ハッピーオーラ”では、センターの加藤史帆らがバルーンに乗り込み、最上階のファンのすぐ近くまで行って手を振る。ほかのメンバーもフロートに乗り込み、アリーナを巡回。さらに、“窓を開けなくても”では花道にもメンバーが散開し、5万人のファンとコミュニケーションを取った。ここで雰囲気が一転、切ない恋心を歌った“こんなに好きになっちゃっていいの?”を感情たっぷりに歌唱し、“抱きしめてやる”では回転する円形ステージに乗って激しいダンスを見せた。
そして再びMCへ。齊藤京子の決めポーズ「きょんこハート」に合わせ、アドリブでメンバー全員でハートを作るなど、日向坂46らしい団体芸で観客を楽しませる。また、東京ドームの天井スピーカーに打球を当てた大阪近鉄バファローズのラルフ・ブライアントにならい、全員でスピーカーに向かって春日俊彰(オードリー)の持ちギャグ「トゥース」を決める。さらに、アイドル界屈指の「ドラゴンボール」ファンである丹生明里の「かめはめ波」で5万人のウェーブが実現。会場を1周して戻ってきたかめはめ波でメンバーが吹っ飛び、笑いを誘った。初の東京ドームでも、バラエティに強い日向坂46らしい姿を見せた。
ここからは、1期生~3期生が順に新旧の曲を披露。1期生は、けやき坂46時代の“こんな整列を誰がさせるのか?”、日向坂46に改名してからの“My god”を続けて歌い、成長を見せた。2期生と、3期生の上村ひなのは、“Dash&Rush”で会場を縦横無尽に走り回る。さらに2期生は、けやき坂46時代の曲“未熟な怒り”をパフォーマンス。3期生は、持ち曲の“この夏をジャムにしよう”、“Right?”を2曲続けて披露し、末っ子らしいかわいさで魅了した。最後に再び1期生が登場し、“それでも歩いてる”を熱唱。人生への応援歌とも言える歌詞がスクリーンに表示され、ファンの涙腺を刺激した。また、ステージ上には卒業した長濱ねる、柿崎芽実、井口眞緒のぶんの椅子も用意され、今までグループに在籍していた全員でここに立ったのだというメッセージを発信した。
ここから再び全員曲に。3期生たちによるかわいらしい寸劇を挟み、“アザトカワイイ”を披露。次に、グループの中でもダンスの実力が屈指と言われる東村芽依が、“ソンナコトナイヨ”のセンターを務める。“期待していない自分”では、佐々木美玲が熱のこもったパフォーマンスで魅せた。続く“君しか勝たん”では、パフォーマーが参加してステージの上で大道芸を繰り広げる。けやき坂46時代にグループの転機になった、日本武道館3デイズ公演を彷彿とさせるようなサーカス的な演出で、間奏中にはメンバーが箱の中から現れたり消えたりするマジックも成功させ、会場を沸かせた。
再び期別で、1期生が“永遠の白線”、2期生が“半分の記憶”といった懐かしい楽曲を歌う。共にリリース当時の衣装を身につけており、古くからのファンは感慨を覚えただろう。そしてダンス・トラックでクールな踊りを決めたあと、最新シングル“ってか”をパフォーマンス。日向坂46史上もっとも激しいと言われるダンスで、「踊れるグループ」としての力量も見せつけた。
ここからはライヴ本編の終盤。“NO WAR in the future 2020”で、メンバーがバルーンやフロートに乗り込んで会場を煽ると、ファンがハンズアップで応える。そして定番曲“誰よりも高く跳べ! 2020”では、大サビ前でキャプテンの佐々木久美が「東京ドーム、跳べー!」と過去最高の絶叫を聞かせた。この2曲の流れで、メンバーのテンションは最高潮に達し、ライヴに強い日向坂46の姿を強烈に焼きつける。
ここでメンバーがはけると、VTRが流れる。「私たちの目標だった、東京ドームでのコンサート」という潮紗理菜のナレーションに続いて、メンバーひとりひとりの声でこのドーム公演への思い、そして待ってくれていたファンへの感謝が語られる。「私たちはまだまだ止まりません」と、次の展開に向けたメッセージも含まれているのが印象的だった。
そして円形ステージがせり上がり、真っ白な衣装を纏ったメンバーたちが登場。“JOYFUL LOVE”のイントロが流れると、客席のサイリウムがブロックごとに同じ色で統一され、東京ドームに7色の虹が出現した。これは日向坂46のファンが自主的に行っている恒例の演出で、「ライヴはおひさまと一緒に作り上げるもの」というグループのモットーを体現するものだ。さらに、佐々木久美が「おひさまのみなさんと出会えたことが、何よりも私たちにとって宝物です。これからもみなさんの作ってくださる虹と共に歩いていきたいです」と語ると、すべての照明が落とされ、メンバーの衣装に明かりが灯る。7色の虹の上を白い光に包まれたメンバーたちが歩いていく光景は、東京ドームの歴史にも残るだろう感動的なシーンとなっていた。
ここで本編が終了。そしてアンコール明けには嬉しいサプライズが待っていた。7thシングル『僕なんか』が5月11日にリリースされることがスクリーンで告知される。さらに、楽曲をこの場で初披露。センターを小坂菜緒が務め、全員で緊張感のあるパフォーマンスを見せた。新曲リリースの情報さえも出されていなかった状況での楽曲披露は、東京ドームに相応しいサプライズだった。
歌唱後は、初のパフォーマンスに緊張したとメンバーたちが語るなか、最年少の上村ひなのが「改めて、みなさんの愛を感じました。大好き」とファンへの愛を伝えた。そしてグループの歩みを歌ったセルフ・タイトル曲“日向坂”を歌うと、会場のペンライトがグループ・カラーの空色一色になる。ここでキャプテンの佐々木久美がグループを代表して、ファンへの感謝を伝える。「みなさんと3歳の誕生日を祝えられて、幸せです! これからも私たちは全力でのぼるだけなので、みなさんと一緒にのぼり続けていきたいと思います。みなさんのことが大好きです! これからもよろしくお願いします!」。
この日はさらにダブル・アンコールも発生。再びメンバーたちが登場すると、やはり佐々木久美が最後の言葉を語った。「いろんなことありましたし、やっぱり東京ドームって特別な場所で、すごい楽しみにしていたんですけど。でもやっぱりうまくいかないなっていうこともすごくあって。でも、そういう思いをしてるのが、自分だけじゃないっていうのが、すごい心を強くしてくれるというか。メンバーももちろん、おひさまのみなさんも同じ気持ちでこういう空間を作り続けてくれるっていうことを、この約束の地でコンサートをすることで、より感じました。日向坂としては3周年、3歳なんですけど、ひらがなけやきとして活動させていただき、最初はひとりだったメンバーが、私たちが入って増えて、また2期生が入って増えて、増えるだけじゃなくてメンバーの卒業も経験して。そしてまた新しいメンバーが入ってきて。最初のひらがなけやきのころから大事にしていることは、まだ私たちの心の中にあって。成長した部分もあるし変わらない部分もあるなって思います。でも日向坂46になってより思うのは、おひさまの存在って偉大だなってことで。私たちがこんなに大きすぎる夢を持って、実現できるのも、おひさまのみなさんが味方でいてくれるからで。そういうことを経験するたびに、夢を持っていていいんだなって思いました。加入したころは、みんなで「私たちなんか」って言いながら活動してきたんですけど、そのころの自分たちに言いたいですね。こんなに素敵なおひさまがいるよってことを(ここで拍手が起きる)。信じて進んで……(涙ぐみながら)ほんとにありがとうございます。でもまだまだ私たちは3年目で、これから、叶えたいことも行きたいところもいっぱいあるし、約束の彼の地と歌い始めたときはここがゴールかなって思ったけど、今日ここがまた新たな出発の場所となりました。ここからまた新しい場所を目指して、みなさんと一緒に夢を叶えていきたいなと思います。これからも日向坂46をよろしくお願いします。(メンバーの方を向いて)新しい仲間も増えるしね。今オーディション中なんです、私たち。4期生が入ってくるので。もっと増えてね、パワーアップして、これからも最高の景色を見ていきたいと思います! それでは、みなさんの期待に答えまして、あの歌を最後にみんなで歌いたいと思います」。そして“約束の卵”を歌い、最後はメンバー全員で「みなさん今日は本当に、ありがとうございました!」と地声で伝え、ステージを降りた。
2016年のグループ結成から6年、そして“約束の卵”を歌い始めてから4年。東京ドーム公演は、グループが目指すべき目標だった。今年2022年に入ってからも、オミクロン株の蔓延により三度開催が危ぶまれたが、直前になって客席制限が緩和。波乱万丈だったグループの歴史に相応しく、偶然にもコロナ禍で初のフル・キャパシティでの東京ドーム公演を行ったアーティストとなった。
そして、グループの活動を総決算するだけではなく、アンコールでは新曲もサプライズ披露。佐々木久美が語るように、「ここがまた新たな出発の場所」だと感じさせるような、アグレッシヴな上昇志向がそこかしこに見える内容だった。少しずつ階段をのぼってきたけやき坂46、そして日向坂46を応援してきたファンが一番見たかった「未来」を感じさせてくれたライヴになったはずだ。
カメラ:上山陽介
▼リリース情報
日向坂46
7thシングル
『僕なんか』
5月11日(水)リリース
■タワーレコードオリジナル特典あり
先着で「ポストカード(TYPE-D)」をプレゼント!
※特典満了次第終了とさせていただきます。
カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース | タグ : Girl's Pop Information
掲載: 2022年04月04日 19:40